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野々村洸から学ぶ、母子家庭男子の深淵

 突然ですが、私はなぜか母子家庭で育った男子を好きになります。元彼が母子家庭(シングルマザーの下で育つ)、その前の元彼も母子家庭(但し離婚はしておらず夫婦別居)、その前に片想いしていた人も母子家庭、中学の時に片想いしていたOくんは家庭内別居状態と聞きました。そういえば小学校の時に好きだったEくんは父子家庭でした。長年嵐の二宮和也くんを応援していましたが、彼も母子家庭です。何かの病気かよ。別に相手の生育歴を聞いてから好きになっているわけではないのに、もはや呪いか何かの類だとしか思えません。

 そして昨年うっかり好きになってしまった、特撮番組「列車戦隊トッキュウジャー」のトッキュウ4号こと野々村洸、通称ヒカリくん。

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 私が持ってるふりかけかなんかのカードの画像ですみません。こういうキャラです。

 好きになったのは放送話で言うと7話の辺りなので当然ながら本人たちの過去、本名に関するネタバレすらされておらず、純粋にキャラクターとして最初は好きになったのですが、なんと第32話で衝撃の事実が明かされます。彼らは実は10歳の子供だったのです。真面目に説明すると長くなるのではしょりますが、偉い組織の力によって戦闘のために大人の姿にさせられ故郷を探すために旅をしながら行く先々で戦っているのです。しかもずっと大人の姿でいると子供に戻れなくなっちゃう可能性あるのでお前たちそろそろ戦うのやめろとか言われます。無責任かよ。こう書くとSF系戦争小説っぽくてどんよりした気持ちになりますね。

 この、いい年こいた女が10歳の子供にガチ恋していたという事実の発覚だけでも相当ショックでした。半年間ガチ恋していたキャラが実は10歳だったと考えてみてください。私が社長なら有給休暇1ヶ月くらいあげたい程度のショックさ加減です。確かに野々村洸くんは、すげえクールぶってるのに自販機でジュース買ってたり遊園地のアトラクションでガチ焦りしていたり(高所恐怖症)、食事は卵サンドしか食べられなかったり、他のメンバーが真剣な話をしていようともずっとけん玉で遊んでいたり、自分のメイン回で他の4人がいろいろあって捕まってしまいそれを助けに行くことになるものの、自分だけ捕まらなかったのが「小説の続きが読みたいからランチには行かない」という理由で1人だけ残ったからだったりと、ちょっと外見の割には幼かったり協調性に欠けていたりする点が目立ったのですが、それでもメチャメチャかっこいいのです。これはもうしょうがないのです。

 そして更にショックだったのが、この野々村洸くんも母子家庭で育っていたという事実が第43話で判明したことです。またかよ。また母子家庭男子かよ。第7話で、「大切にしているけん玉をカグラが壊してしまい、珍しく激怒する」という描写があり、しかし「自分でもそこまで怒ってしまった理由は明瞭にわからない。なんか大切な人に貰った気がするけど覚えてない」というスーパー理不尽っぷりを発揮するのですがついにこの理由が明かされます。(36話も引っ張ってしまったので恐らくヒカリくんのファン以外この件については1ミリたりとも気にしていませんでした)

 ヒカリくんは母子家庭で育っていました。恐らく日常の細々した世話に関しては、別居していてたまに面倒を見にきてくれる祖母がしていたのですが、けん玉はその祖母から貰ったもの、という話が本人からなされました。ちなみに母子家庭育ちであるという件については当該回放送の1週間前くらいになんかの雑誌でネタバレされていたので特に驚きはしなかったのですが放送されるとやはり心にめり込む何かがありました。この回はめっちゃめちゃ感動してテレビの前で年甲斐もなく号泣したのですがそれは良いとして、問題はまた母子家庭男子を好きになってしまっていたという点です。

 正直ここまでのパターンがあると、一種の病気か何かとしか思えません。この記事では自分の抱いている野々村洸に対するなんともいえない、母性にもガチ恋にも似たクソ面倒な感情について分析し、また「列車戦隊トッキュウジャー」作中における野々村洸の行動のどのへんが果たして好きでどのへんが母子家庭っぽいのかについて振り返りたいと思います。

プロフィール

野々村洸くんのプロフィールについて整理したいと思います。

  • 年齢:10歳
  • 役職:影のリーダー
  • 特技:けん玉
  • 苦手なもの:野菜
  • カラー:グリーン
  • 武器:トンネルアックス
  • 性格など:
    • 冷静かつ素早い判断を得意とし、戦闘力も抜群。クールに見えて人の気持ちにもすぐに気づける優しさを持つ。宝物はけん玉。(「列車戦隊トッキュウジャーフォトアルバム」記載)
    • 頭脳明晰でクール。冷静な判断力で仲間たちに信頼されている。考えごとをする時は、緑のけん玉で遊びながらしていることが多い。食べ物はいつもタマゴサンド、読書なら推理小説、と独自のこだわりを持っている。(「列車戦隊トッキュウジャー キャラクターブック」記載)
    • 冷静な判断力に加えてライトの祖父に空手を習っており、文武両道で皆が頼りにしていたトッキュウ4号。家族のことを思い出した時、母と祖母を守りたいと願う優しさと強さも持っていることが明かされた。(「列車戦隊トッキュウジャー キャラクターブックVol.2」記載)

 

考察

 ヒカリくんに惹き付けられた大きな要因として、「中途半端な落ち着き」という要素があるのではないかと私は考えました。第43話や最終話から受ける一方的な印象で恐縮ですが、ヒカリくんのお母さんはぶっちゃけ精神不安定っぽいです。最終話で大人の姿で目の前に戻ってきた息子に対し全力でキスしようとしているあたり、一人息子に対してのそこはかとない依存感が伺えます。

 大人っぽいけど、詰めが甘くて肝心なところで大人じゃない。ひとりでいる母親を見ているからしっかりしてはいるけれど、やっぱりまだ子供。その精神面のアンバランスさがヒカリくんの特徴である無愛想、ぶっきらぼう加減として現れているのではないかと思ったのです。諸々の媒体で「気分屋」「わがまま」など散々に貶されているヒカリくんですが(私はそういうところが大好きです)、その性格もやはり母親がむやみやたらに愛情を注ぐからなのだと思います。

 第33話、みんな大好き「カラテ大一番」。ライトくんとヒカリくんがいろいろあって空手で勝負したりする回なんですが、劇中でヒカリくんの心情の吐露がありました。

「(昴が浜にいた頃、ライトとやった空手の試合で負けて)平気な顔をしていたけど、実は裏で泣いていた」

 ヒカリくんのぶっきらぼうさは本当に100%心底からのものではなく、ちょっと強がりも入っているんだという絶妙な中途半端さ。その匙加減がこのセリフに集約されているのではないかと感じたのです。

 通常の家庭では父親というポジションの人間が存在するので、母親は見苦しいほどの愛情を息子に注いだりはしないし、依存の成分がすべてひとりの人間に向かったりはしないのですが、母子家庭というような生育環境だとそういうことも発生するのです。多分ヒカリくんは卵サンドしか食べたくないといったらヒカリくんのお母さんは喜んで卵サンドを山のようにでも作るのでしょう。それはとっても素敵なことですが、トッキュウジャーという試練を通して多分彼もちょっとは他のものも食べたいと思ったでしょう。思ってなかったらどうしよう……。

 しかしやっぱり男の子なので、べったりお母さんに甘えられるという感じでもなくなってくるんですよね。10歳だし。そこが前述したアンバランスさを生み出し、絶妙なヒカリくんの性格を形成しているのではないでしょうか。10歳って素敵ですね。悪くない。

 

 私が野々村洸くんに対して抱いていた感想のうちの1つに「依存性が高い」というものがあります。彼は見ている側に「この子大丈夫かな…私がいないとダメなんじゃないのかな…卵サンド以外も食えよ…」という漠然とした感情を起こさせ、引きつけておいて「ヒカリくん超かっこいい~!」と混乱しているうちに最終的に「ヒカリくんがいないと生きていけないかもしれない」と自分が依存状態になってしまうのです。だってヒカリくん、トッキュウジャーの幼馴染4人と同じクラスになるまでほとんど友達いなかったらしいんですよ…。普通に心配でしょ…。

 守りたいけど守られたい。依存されたいけど依存してしまう。つまり、我々(ヒカリくんを病的に好きな人々)は潜在的ヒカリくんの母親と同じような感情を抱いてヒカリくんに接していたのです。

 

まとめ

 母子家庭男子の深淵とは、心の奥底にある母性をうまく利用されてしまう点にあるのではないかと私は結論付けたいと思います。ヒカリくんに当初は愛を求めていたのに、いつの間にか病的な愛を注いでいる……非常に不健全な形といえるでしょう。ですが仕方ありません。かっこいいから仕方ないのです。

 そう、こうして「かっこいいから仕方ない」と無制限に野々村洸くんを許容している状態、これこそがヒカリくんの母親状態といえるでしょう。こうして全面肯定し甘やかしてしまったせいでヒカリくんはわがままで気分屋になってしまったのです。もしかしたら私はヒカリくんの母親だったのかもしれません(?)。

 最終話で大人の状態で故郷に戻って家族の前に姿を見せ、全力で母親からキスされようとしたときにヒカリくんはそれを拒みました。この件に関してインターネットの横浜流星界隈ではいろいろな意見が噴出していましたがそんなことは良いのです。野々村洸を考える過程で上記のシーンはとても重要な意味を持つのではないかと感じました。

 そもそも母親がキス「しようとする」ということは今まではヒカリくんは母親からのキスを受け入れていたのではないかと推測されます。ずっと拒否されてたらさすがに諦めるでしょう。トッキュウジャーとして旅をしていく過程で、だんだんと子供としての気持ちよりも少年としての気持ちの比率の方が大きくなったという明らかな成長の描写だと思うのです。ていうか10歳の少年に完全な母子分離させて1年間旅させるって小林靖子は電車に親でも殺されたのか……。

 ヒカリくんのお母さんは多少なりともショックかなぁとは思いますが息子との距離をいい感じに保ってこれからも頑張ってほしいです。

 ちなみに野々村洸くんの一番好きなところはダルそうな立ち方です。

 

 最後になりますが、野々村洸くんには、野々村洸くんを演じている横浜流星くんの言葉を贈り、この記事を終わりたいと思います。

ヒカリにはこれから強がらないで、素直に甘えることができる人と出会ってほしい。