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劇団「地蔵中毒」 第七回公演 無教訓意味なし演劇vol.7「淫乱和尚の水色腹筋地獄」改め「西口直結!阿闍梨餅展示ブース」

 最近よくブログをやっていることを忘れます。

 初対面で挨拶した方にはかなりの確率で「ブログ読んでいます」と言っていただくのですが、私は実際のところ、普段の生活の中で概ねの時間はブログをやっていることを忘れて過ごしています。という感じなので、久しぶりのブログです。 

 演出家・西田シャトナー氏のTwitterを定点観測している外道演出家ウォッチャーのみなさんにはお馴染みかもしれない、折り込みチラシが異彩を放ちすぎている劇団「地蔵中毒」を念願かなって観劇しました。

 

あらすじ

<①パン屋の崩壊>

 平和な暮らしを謳歌し、朝もはやばやめざましテレビの最初の星座占いから2回目の星座占いの時間まで組体操の「扇」をし続けるパン屋「スマイルベーカリー」を経営する東野一家3人(しょっぱさとすっぱさの違いもわからないようなジジイとババアに陰毛をねりこんだ黒いパンを売りつけて生計を立てている。そのため東野一家はみな陰毛がミステリーサークルみたいになっている)。東野家の父の取り柄は「笑顔」であり、あまりにも笑顔がまぶしすぎて息子でさえも近づけず、笑顔でいるあまり笑顔に「糖度」という概念が付与され、父の笑顔にはミツバチが集まり、その顔は舐めると甘く、父は自らの甘さで糖尿病になっているらしい。

 そんな一家のもとに突然、夫にボコボコにされた後に岡村靖幸のダンスを踊らされる(ボコボコにした後のほうが岡村靖幸のダンスに似ているから)という凄惨なDVを受け、左足の靴紐と右足の靴紐を結びながら変な歩き方で逃げてきた女が現れる。女をかわいそうに思った東野一家は女を「住むところが見つかるまでうちで暮らしなさい」と自宅に招き入れ、神棚の上に隠してあるタンポンの存在を教えた。

 しかし女は東野家・父のジミ・ヘンドリックスの物真似に感銘を受け、女はお礼として東野家・父にフェラチオをしながらLINEで「ふるふる」をする。「順番が逆です!」「これではお嬢さんのtakeの割合が大きすぎます!」と抵抗する東野家・父に女は「私にとってはフェラチオに値するくらい面白かったんですよ」と、「ビートたけしスキャットマン」を見せるが、そこに東野家・母と東野家・息子が現れてしまう。うろたえる東野家・父は、「どう見たってフェラチオの後じゃない!」と言い放つ東野家・母に「ハウス栽培の相談をしていたんだ」と情けない言い訳をするが、女は口から精液を出して東野家・母に見せてしまう。東野家・母は泣き崩れ、東野家・息子は「フェラチオって何? カラオケでするやつ?」と当たらずも遠からずな発言をするのだった。

 女は東野家・母に「あれはちっちゃいゲロだったんです」と言い、東野家・母も「ちっちゃいゲロだったんですね。よかった」と安心するが、女はパン屋として日々を生きる東野家・母に「これでいいの?最近、セックスとか羽子板とか、してる?」と問いかける。東野家・母は「セックスも羽子板もしてなくて… 羽子板って、どうやって切り出せばいいかわからないんです」と泣き崩れ、女は「トイザらス行って、羽子板、買いましょう」と母を励ました。

 その行動が裏目に出てしまい、東野家・母は「フジモンみたいな髪型をした男3人と羽子板をして顔に墨でバッテンを描かれた」写真を東野家・父に握られてしまい、激高した東野家・父に「出ていけ」と言い放たれる。女も「リリコみたいなこと言うようだけどさ、女の性欲は否定すべきものじゃないけど、でもこれは乱交だよ。悪いことしたんだから認めなよ」と東野家・母をいさめ、東野家・母は「ド腐れ売女」と夫に罵られ家を追い出されてしまう。

 男性器につぶマスタードを塗ってからフェラチオをされたりと性欲におぼれた生活を送る東野家・父の一方、東野家・母と息子は家を追い出され、魚民のバックヤードで勝手に暮らしていた(名札とバッヂさえ付けていればまかないも出る)。 シャワーに入れないので公園で「シャドーシャワー」を行い、シャワーに入る練習をしていた東野家・息子のもとに「置き引きの先生」が現れ、シャワーの練習を手伝ったことがきっかけで置き引きの先生と仲を深めた東野家・息子は東野家・母のもとに置き引きの先生を連れていく。しかし置き引きの先生はLSD人間お漬物中毒であり、お漬物にするために東野家・母を攫ったのであった。

 東野家・母は置き引きの先生に連れ去られ、お漬物の先生の手によって人間お漬物にされてしまう。

 一方、東野家・息子は偶然再会した東野家・父に「おまえに半分あいつの血が流れていると思うと急に憎たらしくなってな」と、首にコロコロコミックを結束バンドで固定されてしまう。

 パン屋だった東野家は深夜1時から5時まで営業の「宇宙からの電波を受信する研究所」(ビカビカになっている)に改造されてしまい、裏モノJAPANの取材が訪れるようになっていた。 しかしある日、東野家・父が自宅に帰ってみると女が知らない男と乳繰り合い、「ねこふんじゃった」を連弾しているではないか。驚愕する東野家・父に、「女は実は東野家・父に惚れていたのではなく、ロボットレストランのダンサーで、巣鴨にロボットレストラン2号店を出店すべく、パン屋を潰す目的で近づいていた」という事実が突き付けられる。店舗をビカビカにしたのも宇宙からの電波を受信するためではなくパン屋をロボットレストランにする為だったのだ。

 東野家はロボットレストランの店舗・兼宣伝カーとして発進し、女はロボットレストランの宣伝を始める。困惑する東野家・父。が、突如乱入したタカシのピストン運動によってロボットレストランはコントロールを失い、横浜アリーナに突っ込んでしまう。

 めちゃくちゃになった横浜アリーナで人間お漬物と化した妻、首が伸び切ってしまった息子と再会した東野家・父は、家族もろとも食虫植物の餌食になり、「父さん、家族を養う責任より、フェラチオを選んじゃったよ。フェラチオは気持ちいいもんな」と言いながら、動かない2人の手を取って「扇」をするのであった。

 

<②洗脳計画>

 気弱なのに「風雲斎」という名前の青年と、「タカシ」という普通の名前の青年は、風雲斎の「美人の女を大量に洗脳して裸のまま円広志に合わせて飛び跳ねさせたい」という夢を叶えるべく洗脳計画をスタートさせる。タカシは食虫植物にしか性的興奮を覚えないので、風雲斎の計画に対してもドライな反応ではあったが、風雲斎の夢のためと協力することになった。

 女をさらう計画の中で、風雲斎が女をさらう際に両手に紫芋を持っているため女を殴れず、たまたま通りがかった女を殴るのが好きなおじさんに殴ってもらい事なきを得るトラブルも発生したが、無事にノイズ音を出す食虫植物によって女を洗脳し、好きな男性のパンツの種類を変え、イガグリを素手で掴ませ、つけめんのつけダレを無の空間から取り出させることに成功する(歌舞伎町の入り口で雑誌を売っているおじさんが方法を教えてくれた)。

 しかし幼少期に母が鎖鎌だったトラウマを持ち、おっぱいのついている生き物へのコンプレックスを抱えるために相当数の女を拉致洗脳してもまだ飽き足らない風雲斎は、女性がたくさん集う場所で洗脳を行うことを計画する。実行場所に横浜アリーナで行われる東京ガールズコレクションを選んだ2人だったが、食虫植物からノイズ音が出ない。原因は、タカシが人形供養の神社に行き、マクドナルドの「エグチ」に男性器を挟んで(食虫植物に似ているから)以来タカシの男性器が機能不全なことにあると思われた。エグチを憎みながら、食虫植物以外に唯一興奮するものである「一軒家」を横浜アリーナ周辺で必死に探す2人。

 そのとき、突如として2人の前に東野家が改造されロボットレストラン兼宣伝カーになった一軒家が現れる。珍しい一軒家に興奮したタカシは東野家の室外機接続孔とセックスを始め、ピストン運動によってコントロールを失った一軒家は横浜アリーナに突っ込んでしまう。機能を取り戻した男性器に反応して成長した食虫植物はノイズ音を発し、横浜アリーナ中の女子が洗脳され飛び跳ねる光景を見て風雲斎は恍惚としていたが、やがて周囲の人々もろとも食虫植物に取り込まれ、脳細胞が使い物にならなくなるのであった。

 

<③人肉教>

 女優の古沢はマネージャーの鴨田に「ぶりかまの試食会の仕事」しかないことを厳しく叱責する。「なんで『行列のできる法律相談所』の再現VTRで卒論の入ったパソコンを壊された演技ができるあたしがぶりかま食べる仕事しかないのよ」と怒鳴りつけるが、マネージャーの鴨田は冷静に「人肉食べる宗教入ってる人は基本的にはテレビ出られないんですよ。行列出られたのだって奇跡ですよ」と返した。

 結局古沢は交通量調査のバイトをやることになり、「時給の女優なんている?」と憤慨し「もう帰る」と席を立つが、亀戸名物・歯形おじさんに襲われ、足に歯形をワルツのリズムで付けられてしまい、ホウ酸団子を歯形おじさんに与えて事なきを得た。

 古沢は鴨田に自らの信仰を理解してもらうべく、宗教の集まりに鴨田を連れていく。教祖は鴨田に「人肉は嗜まれないんですか?」と聞くが、鴨田は「僕はひなあられしか食べないので」と拒絶した。中央広間では人肉を食べる宗教の信者たちが無邪気にトイレットペーパーで遊び、ボサノバを聴いて和んでおり、教祖は「見てください、こいつらのピュアな目。人肉を食べればこんな心になれるんです」と説く。しかしあくまでも人肉を拒絶する鴨田に、古沢と教祖は無理やり人肉を食べさせたのであった。

 すると鴨田は豹変し、いきなりドリフトの練習を広間で始め、人肉の味に対して覚醒してしまう。 気づくと鴨田は教祖になり、鴨田という名前ではなく「長曾我部鶯丸」として古沢にミニスカぞうきん掛けを強要するようになっていた。「これジュニアアイドルがやるやつだよね? あたし、ジュニアアイドルになるの?練乳かけられながらバランスボール乗るの?」とうろたえる古沢に、鴨田は「1万5000人の大舞台」での仕事を持ちかける。

 たどりついた先の横浜アリーナで、お漬物の先生と再会した鴨田は過去を語り出す。 小学生の時、暴力と肛門の匂いを嗅がせる行為を交互に行ってくる父(陰気な公務員だがMINMIを歌い出すことがある)に耐えかねていた鴨田の姿を見たお漬物の先生は「バカのふりしてお漬物にしちゃえば罪には問われないよ」と眠っている鴨田の父をバットで殴り、鴨田にも殴ることを強要する。やがて息絶えた鴨田の父をお漬物にしたお漬物の先生は、鴨田に父の漬物を食べるように言うが、父の漬物を一口食べた鴨田は嘔吐してしまった。 それ以来、鴨田はトラウマでひなあられ以外のものを口にできないと言う。

 2人は東京ガールズコレクションを乗っ取り、古沢は藤田ニコルの内臓をステージ上でむさぼる。鴨田も人肉を食べる宗教を宣伝するが、そこに乱入したお漬物の先生は「人肉は生で食べてはいけません」と叫び、双方は泥沼の争いに突入する。

 やがてロボットレストランが横浜アリーナに突っ込み、食虫植物に取り込まれた一同は脳細胞が使い物にならなくなるのであった。

 

<④お漬物の先生>

 「5時に夢中!」でレギュラーコーナーを持ち、主婦のカリスマである「お漬物の先生」は、「置き引きの先生」に「コーデュロイの漬物(美味しいが飲み込んだとき以降が最悪)」、「オスカマキリを食べたメスカマキリの漬物(人間が食物連鎖の頂点にいることをオスカマキリに知らしめるためだけに作ったエゴ丸出しの漬物)」を食べさせ、代わりに空港で使える有効な置き引きのテクニックを教えてもらう。

 常磐線で2時間半くらいかかるところから徒歩23分でエレベーターのない6階のお漬物の先生の自宅に案内してもらった置き引きの先生は、カメラ付きサンバイザーをプレゼントされ「これで全然知らない妊婦の出産シーンを盗撮したいと思います!」と意気込みながらも「いぶりがっこの漬物(漬物をさらに漬物にしたのでしょっぱい)」を振舞われる。しかし、こっそりお漬物の先生が食べた謎の漬物の正体が気になった置き引きの先生はお漬物の先生を追い回し、無理やり謎の漬物を口にしてしまう。

 そこで漬物にされかけている人間を目にしてしまい、「レゲエダンサーに押されて崖から落ちそうになっているおじいちゃん」の幻覚も見た置き引きの先生は、その謎の漬物が「LSDとぬかで漬けた特製の人間漬物」であることを知らされる。禁断症状で「エアおこと」を弾くようになってしまった置き引きの先生は、材料が足りないために人間をさらってくることを命じられた。

 お漬物の先生は金玉から「蛍の光」が音漏れし、金玉が卒業して青空に消えていってしまったりもしたが、やがて置き引きの先生が攫ってきた東野家・母を説得し、「漬物にされる非日常をエンジョイしたいと思います」という東野家・母の足を切り落として漬物にしてしまう。 東京ガールズコレクションにゲストとして呼ばれていた置き引きの先生は、観客のギャルたちに「この日のために盗んできた京急川崎の漬物」を配布し、出番を終えるのだった。

 しかし過去に因縁のある鴨田たちが会場を乗っ取り、人肉を生で食べる宗教の宣伝を始めてしまう。お漬物の先生たちも負けじと「人肉は生で食べてはいけません」と叫ぶが、やがて突っ込んできたロボットレストランに場をめちゃくちゃにされ、食虫植物に取り込まれて脳細胞が使い物にならなくなってしまうのだった。

 

感想

 真面目にあらすじを説明しないと何のことやらサッパリだと思うし、と思って真面目にあらすじを書き出したのですが、文で読んでも何のことやらサッパリですね。かといって会場で2回観た私も未だに何のことやらサッパリなんですが……

 上記の文章も私は至ってシラフでクリーンで真面目に書いているのですが、どうも何かいけない薬を打った人の文章にしか見えません。

 地蔵中毒のことが大好きなのですが、なぜ大好きかというと、まず観た後に感想をしゃべっても、観たものをありのままに話しているにも関わらず薬キメた人のような言動になるところが大好きです。電車の中で「人肉食べるとトイレットペーパーで遊べるくらい無邪気になれるのすごいよね」とか「金玉から蛍の光が流れて卒業しちゃうところ物悲しかったね」とか話している人がいて自分がそれを盗み聞きしていたとしたらとても怖いと思います。いけない薬の幻覚にしか思えません。

 便宜上、あらすじの項ではストーリーを4つに分割しましたが、実際の上演では①②③④が交互に上演されています。ワケわかんなくなる~と思いますが、各々の話のインパクトが強すぎるのできちんと覚えているのが不思議です。きちんと覚えているし、だんだん違う世界の話が混ざってくるので終盤は非常に愉快です。最後には全員が横浜アリーナに集結し、全員食虫植物の餌食になって終了します。最高だな~と思います。

 そう、地蔵中毒は本当に最高だな~ということを、私はこのブログを購読している読者の700人くらいの皆さんに向けてどうしてもお伝えしたく、今こうしてキーボードを叩いているのです。

 しかし地蔵中毒のお芝居には平然とフェラチオとかちんぽとかおっぱいといった単語が飛び交うので、まず下ネタがダメな人は観劇を避けるのが無難だと思います。それから人肉とか食べ始めるのでグロがダメな人もよした方がいいでしょう。

 このいけない幻覚気分になれる舞台は、かなり意味不明で唐突なことの連続によって構成されているのですが(複数人での羽子板が乱交になったり、人間が漬物になったり)、意味不明で唐突なのに徐々に何の疑問も持たなくなっていき、最後には意味不明で唐突な破壊と混乱によって爆笑してしまうのが、恐ろしい、と思っています。地蔵中毒を観た後だと、普通の舞台が普通に普通のことをやっていても「アレ……」と思ってしまいます。推しが出る舞台に通わなければいけないときの前には観ないほうがいいです。

 私は真剣に、地蔵中毒にもっと売れてほしいと願っています。もっと売れてほしい。無教訓意味なし演劇をサンシャイン劇場で観たいんです。意味不明に若手俳優を2人くらいカンパニーに混ぜてほしいんです。推しを人質に取られた俳優厨に「人肉はキツい」と愚痴られてほしいんです。とてもピュアな、私の心からの願いです。

 ちなみにアンケートに「一緒に遊園地に遊びに行きたいキャラは?」とありましたが、私は東野家・父と行きたいなと思います。なんか楽しそうだからです。

 

 ところで西田シャトナー氏は、こういうの好きなんでしょうか。本当のところが気になる……