I READ THE NEWS TODAY, OH BOY

舞台、俳優DD、サブカルかぶれ等

舞台「八王子ゾンビ―ズ」のオウムに関する悪ふざけ(短文)

 どうやら最近、若手俳優ウォッチャーの間でのトレンドは「八王子ゾンビーズ」の悪口らしく、ツイッターだけでなくはてなブログ若手俳優カテゴリにも悪口エントリや批判エントリが上がっているのを観察できる。近年ここまで大っぴらに批判を書かれまくった舞台ってあっただろうかと考えたけどちょっと思いつかない。岡村俊一氏の舞台に突然関係ない人が登壇したやつくらいだろうか。

tanoshiiotaku.hatenablog.com

boogiewoogie.hatenablog.com

 テレビ的な趣味の悪さとか面白い面白くないというのに私が言及してもしょーがないのでそれらは置いておくとして(前提として、観た。しかし個人的に、面白いと思わなかったけれど憤りを感じるほどイヤでもなかった。それは私が普段から悪趣味だったり鈍感だったりすることと推しが出ていないことが合わさっているためだと思う)、「八王子ゾンビーズ」の一側面に明らかに鈴木おさむのオウム的な悪ふざけがあるんじゃないかと思ったことはメモしておきたい。鈴木おさむオウマーなのかとすら思ってしまった。

 かくいう私もオウマーだ。そもそもオウマーとは何か。オウム真理教をエンタメ的に消費する人たちの総称である。地下にもぐっているだけで結構いる。

 報道が進んでいくと、あの「オウム真理教」の仕業では? との疑惑が深まり、いつの間にやらテレビがオウム一色に。全局が、「オウム真理教専門チャンネル」状態であった。

(中略)すると、聞きなれない単語が続々と耳に入ってきた。殺人極悪集団に似つかないポップでキッチュでエキセントリックで、なんちゅうか楽しげな単語だ。

(中略)「水中クンバカ」ーークンバカって何だよ! しかも水中かよ! 「ニューナルコ」ーーニューって言われても、そもそもナルコって何だよ! 「サリン噴霧車」ーー世界で1台だよな!

(中略)とにかく、数年前まで僕たちはオウムに釘付けだった。

 いつの頃からか、日本には「流行語大賞」 なる企画が定着したが、オウム用語はあれだけ「流行」したにもかかわらず、被害者感情を考えたのか、ただのひとつも選ばれなかった。しかし、こういうことを書くと怒り出す人がいるかもしれないが、あの当時、あの事件を面白がっていた人は、決して少なくなかった筈である。パソコンのデータを間違って消せば「ポア」、尊大な上司は「尊師」、飲み会で金を集めれば「お布施」、機械が乱雑に置いてある場所は「サティアン」、その他、修行・潔白・ホーリーネーム……。そんな風にみんな平気でオウム用語を使って楽しんでいたのではないだろうか。

(中略)大多数の人間は、オウムを悪として糾弾する常識的な部分がありながら、オウムネタを楽しむような無責任な部分も兼ね備えていたのではないだろうか。<東京キララ社編集部編「オウム真理教大辞典」より>

  最近では元幹部の一斉死刑執行があったりしてワイドショーでは2012年(平田信菊地直子高橋克也逮捕の年)以来のオウム祭り的様相を呈しており個人的には結構楽しかった。そもそもワイドショーで堂々とオウムソングが流れていること自体がかなり面白いので、いつか死刑執行の日が来るだろうなと思っていたとはいえ、2次元のオタク風に言うと推しが死んでジャンルが盛り上がるというか、まー7月以降そういう感じだった。

 八王子ゾンビーズの話に戻る。

 一度しか観ていないので正確さは欠くが、希望寺のエライ住職がまず紫の服を着ていて、それで「悪いことをした人間は殺された方が良い」とか、「殺すだけでは足りないので死後も苦しめ続けなければいけない」とか、「死刑になるようなやつが死刑だけで良いとは思えない」というような発言をしていて、こ、これは完全に脚本家はオウムの影響を受けてるんじゃないか……と個人的に思わざるを得なかった。麻原彰晃もそういうようなことを言っているからだ。特にオウム的には、オウムの教義でいう「悪い人間」は殺された方が結果的に幸せになるとされていて、それは「ポアの教義」として有名になったのだけれど、結局色々あってポアは殺人肯定の教義だと言われて公権力にめちゃくちゃ怒られた。彼ら的に重要なのは現世ではなく輪廻転生したあとの来世なので、現世で殺しちゃっても来世幸せになれるから良い行い!ということなのである。このへん、八王子ゾンビーズの世界にも通じるところがあって、あの住職はある意味スピリチュアル世界の中で「霊を霊のまま苦しめることが一番の罰になる」と思っているし、一度しか殺すことのできない肉体よりもゾンビになった魂を痛めつけることに全力を注いでいるようにみえた。

 まあ私が勝手に思っただけなのでそうじゃないと言われたらそれまでなのだけど、特に死刑に言及しているあたり観客にオウムを連想させるには十分な要素が揃っていて、 で、この何が悪ふざけかというと、八王子ゾンビーズが上演されている赤坂ACTシアターはそもそもTBSの持ち物なのである。 鈴木おさむの仕掛けた壮大なブラックジョーク、にしてはかなりパンチが強すぎると思うのだけれど、どーなんでしょうか。

TBSビデオ問題 - Wikipedia

坂本堤弁護士一家殺害事件 - Wikipedia

 女性演者の載せたInstagramのストーリーでは若手俳優がふざけて空中浮揚ごっこして「やめなさいよぉ~」と言われていたりして、カンパニーぐるみで悪ふざけしているんじゃないか?!という疑念に駆られたりしたしそもそもTBSの敷地内で空中浮揚ごっこして大丈夫なのかとか、偉い人に怒られたりしないのかとか、テレビと違って舞台は絶対的に鑑賞する人数が限られているコンテンツなのでそのスキマを狙ってテレビじゃできない悪ふざけをやっているんじゃないかとか、色々思ったのだけど、とにかくこの2018年8月に「八王子ゾンビーズ」がTBS赤坂ACTシアターで上演されていることが全体的に奇跡なので、もっと話題になってほしいと思いました。 そして話題にならなくても気づいた人だけが帰り道にTBSの社屋ビルを眺めてフフッとなってほしいなとも思うのでした。 (私は悪ふざけ肯定派です)