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舞台、俳優DD、サブカルかぶれ等

キミは若手俳優オタの間で流行った「匿名系はてなブログ」を覚えているか

  ここ1年ほど、はてなブログがオタクの間でもう流行っていないような気がしている。noteは以前よりも流行っているような気がする。気がするだけで特に指標があったり調査をしたわけではないので正確なところはわからないが、最も大きな要因には「お気持ちを長文で表現する場所」がはてなブログだけではなくなり、メモスクショ、また連続ツイートといった手法がメジャーになったことが挙げられると思う。

 noteの記事で最近ヒット(?)したものと言われて思い浮かぶのは刀剣乱舞腐女子がナマモノについていろいろアレしてたやつとかである。(https://note.mu/_n_ume/n/n638d4f0b4d5d)ちなみに私は、この件に関して、本当に何の感想も持っていない。(自分に一切関係がないので……)

 思えばメモスクショという手段がメジャーになったのはここ数年の文化である。ツイッターを見回してみれば、アイドル運営も芸能人も皆長文をツイートするときにはメモスクショを使っている。もはやメモスクショが正式な文書形式として扱われそうな勢いである。老いも若きもメモスクショ。私はメモスクショを見ると未だに若干「ん……?」となってしまう古の人間なのでメモスクショには良い印象を持っていないのだが、素早く長文をツイートできるという点、利便性においては他の手段(Wordなど)に比べて郡を抜いている。また、リンクをタップするという行為における心理的障壁に比べて画像を閲覧する心理的障壁は低いので、ブログよりも人に読んでもらいやすい。

 そういうわけではてなブログがオタクの間で流行らなくなったのも自明の理といえば自明の理なのである。

 Webサービスとしてのはてなブログ正式版がリリースされたのは2013年。結構最近の出来事だ。

 皆さんは2016~2017年頃に若手俳優オタの間で爆発的に流行した匿名愚痴系はてなブログを覚えているだろうか。個人的な捉え方であるが、主な特徴に

・推しの名前は出さない

・推しのことを「推しくん」と呼ぶ

・お題箱に回答するだけの記事がある

・推しにハマった経緯、現場の愚痴など、記事の内容はパターン化されていて似たり寄ったり

 などがある。特に当時めちゃくちゃ流行っていたのは「若手俳優応援スタンス」系の記事。ググるといっぱい出てくるのだが、自分がどのようなスタンスで推しを応援しているのかということを滔々と語るタイプの記事である。推しの名前を伏せている場合も多かった上、これが流行りすぎた為、2017年9月にははてなブロググループ若手俳優カテゴリの管理人から説明文に「はてな匿名ダイアリーの利用も検討してください」という文言が追加された事件もあった。

はてなブロググループ「若手俳優について」について - 述語

 舞台の感想や若手俳優についての感想がメインのブロググループと、応援スタンスも含めて自由に書いていいという趣旨のブロググループに分裂する(ただしこれは善意であり、お家騒動とかではない)という事態も発生。オタク女の自分語りのせいでコミュニティが分裂にまで至ってしまうというヤバイ状況が発生した。

 推しを伏せたいが自分語りはしたいというオタク女の欲求が引き起こした悲劇。はてな匿名ダイアリーは投稿postが流れていくスピードも早く、確かにブロググループに加入して記事を書いたほうがオタクに読んでもらいやすいという気持ちもわかる。しかし当時はブロググループが「○○について」と書かれたボンヤリした愚痴で埋まっており、発足当初、舞台の長文感想などが頻繁に投稿されていた雰囲気と違っていたのもまた事実。

 まあそんな時期も過ぎ去り今ではまた新着記事の大半を舞台の感想などが占めている。元に戻っただけなのだが。

若手俳優について - はてなブログ グループ

 当時、なぜあんなに「ブログを作成する」というまあまあ手間のかかることをしてまで匿名語りが爆発的に流行したのかは私にとっては永遠の謎である。

 しかし一つ心当たりがあるとすれば、大きな話題になった舞台「りさ子のガチ恋♡俳優沼」の初演も2017年9月であること。オタク心理や、「リアコ」「認知」などのワードがトレンドをかっさらっていた時期だ。なにか大きな流れのようなものが存在しており、その流れがオタクたちを匿名系ブログへと誘っていた……のかもしれない。

 はてなブログ以前からのはてなユーザーとしては、「そんなのはてな匿名ダイアリーを使ったらいいじゃん」と思ったりもする。しかし考えてみれば、世間(というか非はてなユーザー)からすれば増田は「保育園落ちた日本死ね」で注目を集めたぐらいの印象しかないので、多くの人に見てもらえる可能性のあるツールとは思い難いのかもしれない。

 また、増田では同一人物の書いた記事と記事の間に連続性を持たせることができない。「匿名でないと困るが、匿名の『誰か』では居たい」という欲求を満たしたい人がたくさんいたのであれば、匿名系ブログの流行にも納得がいく。

 個人的な感想としては、匿名であれば「保育園落ちた日本死ね」のように過激なことを書けるのかと思っていたが、匿名系ブログを巡回してみるとそうではないことに気づく。皆、「推しくんにあげるプレは~」とか「推しくんからのファンサが~」とか、めちゃくちゃ内容がピュアなのである。秘めたる乙女心の発露ともとれるのであるが、等身大の悩みが淡々と書かれている点が面白い。しかし考えてみれば、昔から「ブログ」とはそんなもんであった。長文記事が多い傾向にあるはてなブログの中で浮いていたという話であって、アレを書いていた人たちはもともとアメーバとかでブログを書いていた層なのでは、と考えると合点がいく。他人のブログには、そういう「知らねーよ」というようなことが延々と書かれているのが相場である。

 結局のところオタク女の承認欲求、それ以上でも以下でもない、それだけの話なのだが……。

 あの頃流行った匿名系ブログたちは今もインターネットの海の中で漂い続けている。