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舞台、俳優DD、サブカルかぶれ等

それでも僕たちはときどきZeppブルーシアター六本木のことを思い出してしまうんだ

 もうすぐブルーシアターが死んでから、もとい閉鎖されてから2年。三回忌ってやつですね。先日のお盆にはブルーシアターの霊も帰ってきていたことでしょう。なぜか敷地内に停めてあったあのスクールバスに乗って。

 跡地はというと、何になっているというわけでもなく、現在も更地のまま放置されています。見てくださいこの綺麗な更地。圧巻の無です。

 

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 この画像を見れば見るほど、あのぐるっと回らないと入り口に辿り着けない凶悪な導線は一体何だったんだという気持ちになりますね。シンプルに考えられなかったのか。 

 Zeppブルーシアター六本木、通称ブルーシアターといえばいろいろな意味で話題になり続けた劇場として2.5次元俳優のオタク・若手俳優のオタク間に名を轟かせていたキャパシティ901人の劇場でしたが、2017年11月に、惜しまれたり惜しまれなかったりしつつも閉館。もともとプレハブ小屋と揶揄されていたほどしょぼい簡素な建物だったため、あっさりと取り壊され、公式サイトによれば「土地使用契約終了のため」閉館。

 昨年末にはアイアシアターが閉鎖され、もはやあの頃の俳優オタクが通っていたキャパ700~900クラスの劇場はサンシャイン劇場天王洲銀河劇場シアター1010しか残っていません。日本青年館が改装して復活を遂げたり、最近では品川ステラボールネルケプランニングマーベラスが突然舞台に使い始めたりと劇場事情も日進月歩といった感じです。

https://www.blue-theater.jp/schedule-1

 2016年のブルーシアター貸し出しスケジュールを見てみると、なぜか2月に堂本剛のライブを開催していたりしてビビります。天下のジャニーズ様もブルーシアターを借りていた。有名どころでいえば、ももクロの舞台「幕が上がる」を上演していたのもブルーシアターですね。

 ちなみにブルーシアターのWebサイトトップページには、なぜか自虐的なブルーシアターに対するコメントの数々が。当時は「色々言われてる自覚があるなら何とかしてくれや」と思っていました。

www.blue-theater.jp

 

 さて、オタクの間でブルーシアターがなぜ不評だったかといえば、主に「立地が微妙に悪い」「導線が悪い」「建物がショボいために起こる空調や音響への不満」といった要因でしょうか。あと「周辺に虫が多い」という報告がアイアシアターの客席のゴキブリ報告よりは少ないもののそこそこ頻繁に上がっていたのが印象に残っています。「ブルーシアター セミ」でツイート検索すると最前列でセミに乱入された人がいたりとなかなかにスリリングな環境です。

 ブルーシアターへのアクセスは、地下鉄の六本木駅から東洋英和女学院の前を通って歩いていくか、もしくは反対側の麻布十番駅から鳥居坂を上っていくかの2パターン。この鳥居坂というのがまた狂気じみた坂でして、シンガポール大使館の前から鳥居坂下交差点までの間を繋ぐ坂なのですが、その高低差は13m、平均斜度は8度。

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 読者諸賢の間にもヒールでこの鳥居坂に挑みコケた経験のある者が、また開演時間ギリギリでこの鳥居坂に挑み呼吸困難になった者がいることでしょう。私は両方あります。

 ちなみにこの鳥居坂はもともと欅坂46に名付けされる予定だった坂らしいのですが、鳥居坂でコケ、呼吸困難になった立場からすると、あんまり縁起の良さそうな坂でもない気がするので「欅坂」になって良かったなと思います。

 余談ですが2017年に若手俳優佐々木喜英さんがカノバレ(というより風俗嬢との繋がりバレ?)を暴露されて炎上した際、どさくさに紛れて女性と一緒に歩いている佐々木喜英さんの画像が愚痴垢に晒されていたのですが、どうみても鳥居坂でどうみても隣りにいるのは入りを動いている町厨だったという思い出があります。懐かしいですね。

 さてここまで読んで頂いた方は分かる通り、ブルーシアターは六本木に位置するため周辺には大変高級な方々が住んでいたりその方々が利用する施設があったりしたようです。そのために終演後にはスタッフが「ここで立ち止まらないでください!」「ここから移動してください!」という怒声でオタクを追い払う劇場でした。町厨時代でなかった頃から私はなぜかスタッフに鳥居坂の下まで追いかけられたりしていたのでよほど近隣住民からのクレームを恐れていたか、あるいは本当に日々クレームがガンガン来まくっていたんだと思います。なぜそんなところでオタク向けの商売をしようと思ってしまったのかは永遠の謎です。

 実際、ブルーシアターの斜め前にあったのは三井グランディオーソ・クラブという「都心ハイグレードマンション会員制サロン」。庶民には何が何やらさっぱりです。高級マンションの情報サロンらしいのですが、Webサイトから既にただならぬ雰囲気があります。

三井グランディオーソ・クラブ

 そういうわけでブルーシアターに行くためには六本木方面から少し長く歩くか、麻布十番方面から急勾配の坂に耐えるかという二者択一を迫られていたわけです。懐かしいですね。ちなみに私は当時の推しが出ていた舞台が好みに合わず、日曜日の昼12時からのマチネ公演に向かう最中、死んだ目をしながら歩いていたところ、六本木駅から向かうコースの途中にある日本基督教団鳥居坂教会でちょうど日曜礼拝をやっていたため、「このまま舞台を干してイエス・キリストに救いを求めようかな……」と思ったことがあります。

 当然ハイソサエティな土地柄であるためにマチソワ間でオタクが気軽に入れるような飲食店なども近くには存在せず、私は専ら六本木のタリーズまで出るか麻布十番のジョナサンまで出るかしていたような記憶がうっすらあるのですが、どちらも微妙に遠くて腹を立てていました。あと余りにも行くところがなく磯丸水産のランチにそこそこの頻度で行っていたのですが、なぜか六本木の磯丸水産の店長から当時認知があり、なんか頼んでないのにホッケとかくれました。ありがとう。彼は元気にしているのでしょうか。

 劇場の導線もまた「微妙」の一言に尽きました。ロビーが狭いので座れる場所など存在せず、私は天王洲銀河劇場があまりにも恋しすぎてリアルにブルーシアターの舞台に通っている最中ちょっと泣きました。あとトイレの目の前が関係者の面会受付だった為、終演後にトイレに行くたびに観劇に来ていた俳優を特に知りたくなくても把握する日々。そしてなぜかトイレの前で当時の推しのマネージャーがそこそこ大きな声で「私、○○のマネージャーをしております、○○と申します!」と誰かに向かって元気に自己紹介をしており、怖すぎて走って逃げました。

 そういうわけで私には正直ブルーシアターにはそんなに良い思い出がないのですが、印象に残る舞台を数多く見たこともまた事実。特に印象に残っているのは2015年の「TRUMP」。前情報一切無しで高杉真宙くんのオタクに誘われるがまま「真宙くんの舞台どんな感じなんだろうね~♪」と観に行ったら(当時17歳)帰りに2人して無言になってしまったのも良い思い出です。女子高生の心をバキバキに折る舞台、TRUMP。また当時の推しがなぜか銀河劇場とブルーシアターの舞台にしか出なかったこともあり、私にとっては思い出深い劇場です。

 なので不意に思い出して寂しくなったりもするのですが、じゃあまたブルーシアターの舞台に通いたいか? と言われると、普通にそれは嫌なので、愛憎入り交じるとはまさこのことなのでしょうね。(終)