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舞台、俳優DD、サブカルかぶれ等

「バイバイ、ヴァンプ!」に限った話ではない若手俳優系小規模謎映画の思い出

 ツイッターでも書いた話なので、もうそれ読んだわ~という方がいたら申し訳ないのだが、まあ後世でも似たようなことが起きて誰かがインターネット記事を発掘するだろうという気持ちがあるのであえてエントリにする。

 

www.cinema2d.net

 

 映画「バイバイ、ヴァンプ!」が燃えている。本記事において重要なことであるのだが、この映画の脚本の問題である同性愛の取り扱い方については私は専門外であり、なおかつ当事者・専門家による言及が数多くwebにおいてなされているため、本記事では恐縮ながら割愛する。

 「バイバイ、ヴァンプ!」の炎上を知ったときに感じた気持ち、それは私にとって一種の懐かしみであった。この映画のキャスト欄を見ればわかるが、どうみても雑な感じでアイドル・若手俳優を寄せ集めた雰囲気がダダ漏れになっている。

https://www.byebyevamp.com/cast-staff

 ブログを昔から読んでくださっている方は知っていると思うが、私は5年間にわたって主に2人ほどの若手俳優を推していた。最初の推しに関しては丸3年間くらいにわたり現場にはほぼ全通していて、キネカ大森でやる規模の映画の舞台挨拶にも東京国際フォーラムホールAでやる規模の舞台挨拶にも行っていた。二番目の推しに関しても、どういうわけか不明だが謎の映画にやたらと出ていた。(元推しの名前を出さないのは、本記事で扱う主題が、今世間でボコボコに叩かれている案件なので、飛び火したらめんどうだな~と思っているからで、過去エントリを見ればすぐわかることなので、深い意味はない)

 そして私は若手俳優のオタクをしていた期間、(友達に前売り券を押し付けられる等の事案も含めると)コンスタントに年数本は必ず「バイバイ、ヴァンプ!」のような、「アイドルや若手俳優をかき集めた謎の映画」を見る羽目になっていた。別に見たくて見ていたのではない。その理由は、推しがなぜかそのような映画に出るから、このただ一点である。

 冒頭貼ったCDB氏のブログでも言及されているのだが、ボイメンも祭nine.もちゃんと動員のある人気グループだし、他に出演している若手俳優2.5次元舞台に出ていたりして、ちゃんとオタクはいると思われる。それなのになぜか謎の映画に出るのだ。私の元推し①も大手事務所所属だったが、謎の映画に出演していた。理由はわからない。ただその映画はめちゃくちゃつまらなかった。

 ただ、今回の炎上において、ツイッター上で意見をいろいろと見ていたところ、キャストに対しても「差別に加担している」などの批判をする様子が見受けられた。それはちょっと違うんじゃないかというのは、自分のブログなので声を大にして言いたい。真実がわからないので断言することはできないが、キャスト自身が出たくて出ているとは限らないのである。脚本が上がってきた後に、「これはちょっと……」と出演者が思ったとしてもすでに引き返せない可能性があるのだ。

 芸能界が意味不明なハラスメントと圧力にまみれた魔境であるということは、(元)能年玲奈さんがいつまでたってもテレビに出られない件とか、元SMAPジャニーズ退職組に関する公取委の注意報道とかで皆さんよくわかっているのではないだろうか。(元)清水富美加さんも映画「東京喰種」に関して、本当は人肉を食べる役はやりたくなかったけど断ると事務所に干されるので葛藤してたと言ってたし。

 推しが大手事務所に入っていてもそのような意味不明なハラスメント・圧力から逃れられないとなると、あなたの推しもいつ、脚本がトンチンカンな謎映画に出演して、炎上の矢面に立たされるかわからないということになる。

 さて冒頭のCDB氏のブログに話を戻すが、CDB氏は映画館に全然女性ファンがいなかったことを挙げて、「ファンの勝利」と書いている。しかし、このようなアイドル・若手俳優かき集め謎映画において、通常上映がガラガラなのはきわめてよくある事象のように私は思う。よって別に「バイバイ、ヴァンプ!」に限ったことではないような気がするのだ。

 私は偏屈者なので若手俳優の謎映画をわざわざ通常上映で観に行くこともあるが、基本的にはガラガラで、信じられないくらい人が入っていない。そしてこのような謎映画は一般的な映画ファンにもほとんど鑑賞されていない。シネマート新宿とかの上映表を毎週チェックしているようなマニアでないと映画タイトルさえも知らないだろうし、もちろん内容も観られていない。宣伝もほとんど(というか全く)しないので、キャストのファン以外は観に来ない。だから「バイバイ、ヴァンプ!」はこの手の若手俳優謎映画の中では珍しくかなりの知名度を上げることに成功(?)したとは言える。

 ではこういう映画は何で儲けるかというと、オタクに無限に舞台挨拶を見せたりオタクに無限にDVDを買わせたりする。とにかく無限にイベントを打って収益を上げようとするし、その姿勢をオタク相手にも隠さないのだ。潔い。ボイメンファンは言及しているが、「バイバイ、ヴァンプ!」も1年前くらいから謎の上映会等をやっていたようである。なぜオタクが通常上映にいないのかという疑問はここで解決される。イベントで映画を観ているので、別にわざわざ映画館に行くほど内容が面白くなかったら、もう二度と観ないからである。

 なので私はこのような謎の映画に出くわすと、「やっぱり製作発表イベント完成披露上映会初日イベント大ヒット御礼イベント(大ヒットの可否は問わない)とDVD発売イベントをやるのかな~」などとゲスい勘繰りをしてしまう。

 舞台挨拶を1日に都内で何箇所もまわったりするのだが、その舞台挨拶を全部見るためには映画は1秒も見られないみたいなタイムテーブルになっていたりするので、映画の本編を一切見ずに全てのイベントを完走するオタクもいる。なので、インターネットの皆さんに告げたいのは、オタクが「舞台挨拶楽しかった~!」と言っていても、信じられないことに映画を見ていない場合も多々あるので、むやみに批判してはならない、ということだ。(単純に推しが目の前にいる事象が楽しいだけなので、映画本編のクソさはあまり関係ない)

 しかも今回の事案に関しては、無邪気に「映画楽しかった~」と喜んでいるオタクに対して「なぜ声を上げないのか」「なにも思わないのか」等の批判がされている。しかし、これはかなり個人的な意見なので、そんなことない!と怒られたら、そうですかとしか返せないのだが、このような謎映画の関係者は高確率でエゴサをしている。そして批判的なことを書いたオタクのアカウントに、なぜだか神風特攻のごとく直リプ・引用RTで言い返してくるのである。実例も挙げることができるが、「バイバイ、ヴァンプ!」と並列にして語るのはさすがに……という感じなのでここでは書かない。愚痴垢と呼ばれるオタクの鬱憤を晴らすアカウントが検索避けのために伏せ字を使っているのには、このようなアレな関係者の凸から身を守る・例え不満を書いているのが見つかってもリアルのオタク活動にまでは支障が出ないようにする、という意味合いもある。(最近ではあまりにも愚痴垢の存在が広まりすぎたため、意味がなくなりつつあるが)

 そして、私が「バイバイ、ヴァンプ!」の騒動を見て「あるあるこういう謎映画……」という気持ちになってしまったもう一つの要因、それは偉い人としてヤバめな大人が絡んでいるからだ。 

 改名してGODという名前になったらしいが、プロデューサー欄に名を連ねているこの「ゴッドプロデューサーKAZUKI」なる人物、小室哲哉に一度も会ったことがないのに小室哲哉の暴露本を書くというウルトラCを成し遂げたかなりヤバめな中年男性である。

  もうひとりのプロデューサー・大勝ミサも、よくわからないが未払いを訴えられている。推しがこの映画に出演すると判明した時点で「もう撮ったものはしょうがないのでイベントからは逃げろ」という怪文書を事務所に送りつけてもよいレベル。

 まあ正直、過去に見た謎映画の関係者の中でゴッドプロデューサーを超えるヤバい大人は、流石にいなかった。言い換えれば、ゴッドプロデューサーを引き当ててしまった「バイバイ、ヴァンプ!」出演キャストのオタクは相当に不運であるともいえる。しかし、ゴッドプロデューサーまではいかないものの、不穏な言動をする映画監督のおじさんやプロデューサーのおじさんなどを私は数々の謎映画のイベントで観測してきた。普通に暮らしていれば一切関わることはないが、業界には不明な権力とコネを持っている(らしい?)おじさんが作品に関する決定権を握っている世界、それが小規模謎映画なのである。

 長々と書いたが、そういうわけで私のCDB氏のブログに対するアンサーは、「ただのイケメンオタクとしては、普段から謎の映画を見たくて見ているわけでもないので、通常上映になんか行かないし、その行かないという行動に深い意味はない」となる。いかがでしょうか?

 もちろん私もオタクをしていて出会った映画作品の中にも、生涯大切に見たいと思えるくらい大好きなものがあるので、一概には言えないが……。

懐古!チャレンジスクールの闇

【宣伝】今週末11/24の文学フリマに出ます。

 

 私は2013年から2015年まで、チャレンジスクールと呼ばれる高校に通っていた。結局高校3年生のときに一生オタクをしていたら単位が足りなくなったので退学し、その後通信制高校編入してようやく卒業をすることになるのだが、世には出ない恐ろしいチャレンジスクールの闇というものをふと思い出したのでブログに残してみようと思う。

東京都立高校のチャレンジスクール一覧│ナレッジステーション

 

 チャレンジスクールというのは、様々な諸事情や、精神がアレだったり、色々とアレだったりして中学に通えなかった生徒でも進学できる、入試に内申点審査のない高校のことである。都内には6校ほどあるらしい。へえ~。

 私は中学の頃、まず都立の某中等教育学校に合格したものの1年生の夏休み前に行かなくなり、その後地元の市立中に転入、「相談学級」という不登校児の集まるクラスにぶち込まれたのだが、そこで度重なる奇行を重ねたため事実上そのクラスを出入り禁止になり、最終的に中学3年生の頃は児童精神科のリハビリ施設に送り込まれて毎日を過ごしていた。発達障害の残念な人の人生じゃん。(このあたりの思い出は今週末に販売するミニコミにも書いています)

 中学にまともに通っておらず、内申点がミジンコほどもない私が高校進学の際に提示された選択肢は、私立高校を受験するか、都立のチャレンジスクールに行くかの二択であった。なぜ結局チャレンジスクールに進んだのかはよく覚えていないのだが、当時はチャレンジスクールの闇を知らなかったので仕方がないともいえる。

 私の通っていたチャレンジスクールは京王線千歳烏山駅にあり、通学路には明らかにキ印の不動産屋が建っているオウム真理教の残党が住んでいるマンションと公安警察の監視小屋があるといった非常に情緒豊かな環境であった。駅前の区民センターには「脱会・解散こそが真の反省 オウムを許さない」みたいなドデカい垂れ幕が掛かっており、よく同級生と広場でその垂れ幕を眺めながら死ぬほどどうでもいい話をするなどしていた。

tokyodeep.info

 烏山ハウジング、私は大好きだったのだが同級生は誰も近寄りたがらなかったため、ついに退学まで誰とも烏山ハウジングの話はしなかった。悲しい。

 

 チャレンジスクールは不登校の者を主に受け入れているのだが、それでも人気はけっこうあるらしく、受験の際にはそれなりに落ちる者も出現する。1.5倍の倍率をくぐり抜けた者たちなので、まあまあ社会性のある集まりかと思いきや全くそんなことはなく、入学して一ヶ月くらい経つとわかるのだが、クラスの1/3は全く学校に来ているのを見ない。日本の高校は制度上6年間まで在籍できるらしいのだが、1~3年生の頃に全く学校に来ていなかったので、6年生になってようやく卒業の目処が立っている先輩とかいた。小学校か?

 入学式とその後の一週間以来姿を見なかったKさん、他いろいろな姿をほとんど見なかった人たち、元気なのだろうか……。

 さて、当時の私はといえば、ジャニオタとアニメオタクを併発しているという面倒くさい特性持ちであった為、入学してからすぐにクラスのオタクたちと男女を問わずつるみ始めた。なぜか男女混合4~5人くらいのグループができていて、一生女性声優とエロゲの話をしたりしていたのだが、チャレンジスクールの恐ろしかった点は、皆バグっているのか恋愛で揉めて学校に来なくなってしまうところであった。

 恐らく中学までまともな人間関係を築いてこなかった人々が高校に入って急に「デビュー」したような気持ちになり、恋愛をしてバグってしまうのだと思うのだが、クラス内で物凄い速さでカップルが成立し、そして物凄い速さで別れてどっちかが来なくなる。私は当時「高校ってこういうものなんだ~」と思っていたのだが、他の学校ではそうではないらしいので驚愕した。

 入学してからも衝撃の連続であった。もはや6年前くらいの記憶なのでうろ覚えなのだが、入学してすぐのオリエンテーリングで、担任が「先輩たちの書いた作文です。皆読むように」と言って配ってきた紙に、誰かも知らぬ先輩の「僕はこの学校に入ったことを後悔しています」という一文があったことは今でも心に強く残っている。その作文は「とにかく学校に来ましょう! でないと卒業ができません!」という当たり前すぎる言葉で締めくくられていたのだが、それくらい皆学校に来ていなかったということである。ちなみに、学校に来ない生徒は、特に担任から何か連絡があるというわけでもなく放置されるので一生学校に来ることはない。

 また、体育教師が「君たちは今までの人生で甘えてきたからこんなところにいるんだ」という趣旨を全校集会のスピーチで始め、その場がお通夜のようになったこともあった。仮にも自分の勤めている高校を「こんなところ」と形容したことが衝撃的で、未だに鮮明に覚えている出来事の一つである。

 チャレンジスクールの狂気エピソードを挙げていけば枚挙に暇がないのだが、生徒会長がエロコスプレイヤーで、コミケでコスプレROMを出したり個人撮影会に出たりしながら生徒会長をやっていて「エロゲ以外でこんなスペックの人いるんだ」と思ったことは良い思い出である。本当にいた。

 そういえば、私はなぜか当時「音楽部」という事実上の軽音楽部に名義だけを置いており、音楽部らしいことは何一つしていなかったのだが、音楽部の部長が大事な会議に出なかったことの責任を部の全体で取ることになり、その禊として教師側から提案されたイベントが「全校集会でのリコーダー合奏」だったことは未だに強烈に心に残っている。思春期の軽音楽部員たちがこぞってリコーダーの練習をさせられているのに嫌気が差して速攻で音楽部は辞めたのだが、高校一年生の段階で大人はこんな風に嫌がらせをしてくるんだと学べたことは非常に有意義であった。

 当時の担任は二浪・二留で東京理科大学の数学科を卒業しており、卒業後はしばらくパチプロとして生計を立てていたのだが、なんか働かなきゃなと思って教師になったという男であり(以下、仮にN先生と呼称する)、彼もまたなかなかの曲者で、今回「チャレンジスクールの闇というブログを書こうかな」とツイッターで発言したところ、当時のクラスメイトから「N先生は生徒に手を出したらしい」という情報が送られてきたりして、私も「確かに手を出してそうだったな」と思うなどの出来事があった。

 N先生にまつわる個人的な思い出としては、高校1年生の時の文化祭で、クラスの出し物でお化け屋敷を作ることになったのだが、リーダーシップを持っている者もやる気のある者も皆無なため作業が全然進まず、職員室にいるN先生に助けを求めに行ったらiPhoneでゲームしていたという出来事があったりもした。結局お化け屋敷は文化祭1日目の昼頃になってようやく完成した。今思えば、大人に対する不信感はあの高校で培われたものなのかもしれない。

 とはいえまあまあ楽しい思い出もあり、また中学に行けていかなかったというだけでそれなりに面白い同級生も多くて、当時のクラスメイトの中にはクリエイティブな仕事に就いて活躍し、リツイートで近影を見かける者もいる。しかしクラスメイトの大半が現在行方不明なのもまた事実であるが……。

 チャレンジスクールに入学してくる生徒には2タイプいて、単純にヤンキーで中学に行っていなかった生徒と、オタクや発達障害をこじらせて中学に行っていなかった生徒がおり、前者のほうが比較的早く学校には適応していることが興味深かった。

 私にとっては楽しい思い出の大半が「授業」だったので、いかに対人関係の記憶が薄かったのかが窺える。来年から私は大学の哲学科に進むことになっていて、その道を志したきっかけになったのが当時受けていた倫理の授業だった。もはや先生の名前も覚えていないのだが、楽しかったので倫理のレポートは毎回びっしり書いて提出し、年度末に返ってきたプリントには「これからも勉強を続けてくださいね」と書いてあって嬉しかったことを覚えている。逆に言うと嬉しかった思い出がそれくらいしかないのだが……。

 一度高校を中退してから私立の通信制高校編入したところ、チャレンジスクールで経験したようなバグった出来事はほとんど発生しなかったので、アレは多分チャレンジスクール特有の"磁場"だったのだろうと今になって思っている。

 皆不登校だったのでいじめ等は特に無かったのだが、クラスの結構かわいい女子が、放課後にファミレスで「クラス全員の悪口を出席番号1番から言っていく」というゲームをしているらしいという噂を聞いた時は面白すぎてゲラゲラ笑ってしまった。なんでだよ。

 そういうわけでチャレンジスクールは特におすすめもしませんがバグった人間がいっぱい観察できて面白いので勇気のある人は行ってみるといいと思います。おしまい。

ガチ恋夢女子ですが推しのソシャゲのサービス終了が決定しました

 私が戦刻ナイトブラッドという微妙にマイナーともメジャーとも言い難いソシャゲを始めたのは去年の8月のことだった。始めた当初から、私は森蘭丸くんというキャラのことが本当に好きだった。

 私はいわゆる夢女子という人種なので、自分と推しが付き合っていると思い込んでいる異常者である。よって、以下森蘭丸くんのことを「彼氏」と言い出すという異常事態が発生するが、しょうがないと思って読み進めて欲しい。

 不本意ながらも中華ソシャゲに彼氏の絵がパクられたツイートが微バズりするといった形でいろいろな方面に私が蘭丸くんの夢女子であることが知られるなどという事態も先日は発生した。こちらが私の彼氏です。どうですか? 可愛いですよね。

 さて、サービス終了決定を知ったのは、24日の夕方、友人に誘われた、本件とは全然関係ない、「ミュージカル版チャージマン研!の直前トークイベント」に向かうために駅までの道を歩いている最中であった。こんな状況で彼氏の死を知るのは世の中でも私くらいだと思う。お題箱にフォロワーが「戦ブラのサ終が決まりましたよ……」というメッセージを投稿してきて、その通知で私はサ終を知ったのだ。

 私は混乱のあまり、号泣しながらツイキャスをするといった異常行動に出た。とりあえず誰かに何かを喋っていないと卒倒しそうだったので号泣しながら配信をした。といっても、サ終が戦ブラのオタクにとっていきなりの知らせ、というわけでもなく、今年8月にはメインストーリーの新規更新が停止されていたし、ゲーム内イベントにおける報酬の新規カードも以前に比べると分量が減っていた(星4カードが無くなった)ので、何となく、もうそろそろなんだろうな、長くはもたないんだろうな、という感覚はあった。それがたまたま10月24日だった。それだけのことだ。

 それでも泣いても泣いても涙が止まることはなかった。

 ツイッターを開くと、身内が一様に私のことを心配している謎のタイムラインが発生していた。どうやら皆、戦ブラのサ終のニュースを見て私の精神状態を心配してくれているらしい。大丈夫? と訊かれたが大丈夫なわけはない。彼氏の新規供給が無くなることが決定したのである。大丈夫なわけはなかろう。死にそうである。私は身内たちに助けを求め、「彼氏のサービス終了が決定しためりぴょんを励ます会」が新宿東口の土間土間で緊急開催される運びとなった。結果的に10人くらいが集まってくれた。こんな機会に思わぬところで「意外と私には友人が多かったんだな……」と有り難みを感じることになった。できればこういう機会でなしにありがたみを感じたかったが……。

 私は夢女子なので、自分の中に完全に「彼氏との妄想世界」を構築しており、サービスが終了したからといってその世界がすぐに壊れてしまうわけではない。けれど、公式からの新規供給が無くなるということは、私の持つ妄想世界を裏付けする材料が、これ以上は新しく生まれないということであり、時間が経つごとに、世界が脆く、壊れやすくなってしまうような気がして、それがとても怖くて泣いていたのだ。

 新宿は雨が降っていた。私は映画「天気の子」を思い出した。ヒロインを救うために、東京に雨が振り続けても構わないと願った主人公の気持ちが私にはよく解った。蘭丸くんのいない世界なんてクソなので、もう滅びてしまっても構わないと思った。正直言うと、もう何もかもがどうでもいい。消費税増税とか、地球温暖化とか、本当にどうでも良くなってきて、今すぐ日本が滅びればいいのになと思った。記憶を失うまで泥酔したいという強い願いがあったので、ひたすら酒を飲んでいたのだが、茶割りの缶を片手に身内と新宿の交差点で信号待ちをしていたら、全然知らない男にナンパされ、「どうしたの?なんでそんなに荒れてんの?」と言われたので「彼氏が死にました」と返しておいた。ナンパ男は困惑して、「えっ……それマジなの? マジだったらヤバくない?」と言っていた。可哀想。

 身内が少しずつ土間土間の座敷に集まり、雑な感じの飲み会はその後カラオケに場所を変えて朝まで続いた。皆「ご愁傷様です……」などの優しい言葉をかけてくれたが、身内は全員身勝手なオタクなので、その後すぐに「○○くんがね~~~!」と地下アイドルの話を始めるため、私は「うるせえ! 推しが生きてる奴はいいよなあ!」と暴れたりしていた。ごめん。あと、鬼滅の刃の伊黒ナントカさんの夢女子は、「推しが大正時代に生きてるよりはマシだろ」と怒っていた。なんでお前が怒るんだよ。いいだろまだ死んでないんだから。

 私は酒を飲みまくり、意識を曖昧にすることだけに全エネルギーを注力していた。正気に戻ってしまっては困るからだ。曖昧な意識の状態で、蘭丸くんと私の思い出を振り返っていた。夢番外ガチャ……イベント……ストーリー……。思い返してみるとそもそも供給が少なかったジャンルなのでたいした思い出もないといえばないのだが、それでも私にとってはひとつひとつが愛しい思い出だった。悲しくなりそうになるとまた酒を飲んで気を紛らわした。

 二次会でカラオケに行き、杏里の「悲しみがとまらない」を歌ったら、「彼を返して 悲しみがとまらない」という箇所で爆笑が巻き起こり、恐らく私のカラオケ人生で一番ウケた。そして、戦ブラのサービス終了がクリスマスなので(人生最悪のクリスマス)、山下達郎の「クリスマス・イブ」を歌って「きっと君は来な~い~」という自虐ネタを繰り出すなどの悲しい道化オールナイトを過ごした。彼氏の死が決定した人間が体を張って自虐ネタをやると死ぬほどウケるのでおすすめです。まあ彼氏が死なないのが一番いいのですが。

 余談だが、なぜかクリスマスソングの定番のようになっている山下達郎の「クリスマス・イブ」は、「きっと君は来ない」し「一人きりのクリスマス・イブ」だし、冷静に聴いてみるとむちゃくちゃ悲しい歌なのに、なぜクリスマスが近くなると街中で流されているのか永遠の謎である。縁起でもないだろ。

 そして私は何を血迷ったがOfficial髭男dismの「Pretender」を入れるなどの体を張った失恋芸に走ったのだが、Aメロの「君とのロマンスは人生柄 続きはしないことを知った」あたりから号泣してしまい、身内の皆が合唱してくれるという優しく感動的な展開が訪れた。ありがとう。

 朝までカラオケで発狂し倒し、私の気はどうにか紛れたのだが、朝6時の電車に乗り込みひとりになると、途端に「彼氏のソシャゲのサービス終了が決定した現実」が猛威を振るいながら私に襲いかかり、あまりの悲しさに涙を流した。

 エゴサしたのですが、「蘭丸くんの夢女の人、大丈夫かな?」などと心配してくださった皆さん、ありがとうございました。大丈夫ではないですが、もう仕方がないので、何とか生きていきます。

 

 自分勝手ですが、ソシャゲの、まあソシャゲに限らず万物の――夢女に伝えたいと思うことを書きます。

 彼氏の更新があるというのは幸せなことなので、いまを幸せに元気に生きてください。

 まあ、それだけなんですが。

 

 私はこれまで、大好きなコンテンツとの別れを何度も経験してきた。大好きなラノベの著者が亡くなったことも、ヒーロー番組の放映が最終回を迎え、戦隊が解散したこともあった。だからすべてのものはいつか終わる、いつか別れなくてはならない日が来るという観念が自分の中にあり、ショックを受けたって仕方がないという考えもあったりした。

 けれど、いざその日が来ると、悲しいものは悲しいし、どうしたらいいかわからなくなってしまう。12月25日にゲームはサービスを終了するそうだが、その後の私の毎日というものが、どうにも想像がつかなくて、なんだか困ってしまうのだ。ログインしない毎日、彼氏のカードを眺めない毎日、ガチャ解禁を待たない毎日。

 幸いにも私のフォロワーは狂っているので、「らんもえ(※勝手に作り出した彼氏と私とのカップリング名)はこれで永遠ですね」などの狂ったお題箱をたくさんくれて、確かにそうだな~と元気が出た。元気を出すな。私が蘭丸くんのことを想い続けている限り、この関係は永遠なのだが(妄想なので)、けれどいつか、私が蘭丸くんのことを「忘れることができる」日が来ることが今は怖い。できるだけ早く忘れたほうが私にとっても幸せなのはわかっているので、「忘れることができる」という表現なのだが――蘭丸くんはもう、コンテンツから私が離れたって「待っていてくれる」わけじゃない。終了しているから。いつでも私の帰る場所があるわけじゃない。無いから。だから私が忘れた途端に、なんだか全てが消滅してしまいそうで怖いのだ。

 

 ちなみに、戦刻ナイトブラッドは「マイネット」という、私が勝手にソシャゲホスピスと呼んでいる会社に譲渡されて約1年でサービス終了決定を迎えた。

 マイネットは多分大手の会社で採算が取れていない感じのソシャゲを引き取って少ないコストで運営しながら利益を出すようにがんばり、どうしてもダメになったらサ終する、という形態のビジネスをやっている会社である。限界ソシャゲ界隈には「マイネット送り」という言葉があったりもする。

 けれど私は、マイネットに対しては感謝をしている。戦刻ナイトブラッドと似たような扱いを受けていたマーベラス開発の乙女系ソシャゲに「千銃士」があったのだが、そちらはマーベラス本体に残り、戦ブラよりも早い終焉を迎えたので、延びた分はマイネットが頑張ってくれたんだなあと勝手に思ったりしている。何も知らんけど。末期に至るまで、蘭丸くんのカードを出してくれてありがとうございました。色紙プレゼント企画という最期のありがとうキャンペーン的なやつも催してくださりありがとうございました(当たった)。

 戦ブラで遊べて幸せでした。

 いつかは忘れてしまうけどね。

 

BYE-BYE ボクらの キミとボクとが 出会った何か

BYE-BYE ボクらの キミとボクとが 作った何か

BYE-BYE ボクらの キミとボクとが 思った何か

BYE-BYE ボクらの キミとボクとが 行ったとこ

――有頂天「BYE-BYE」

 


[PV] 有頂天 - BYE-BYE