I READ THE NEWS TODAY, OH BOY

舞台、俳優DD、サブカルかぶれ等

舞台「戦刻ナイトブラッド」の終焉(短文集)

plus14.hateblo.jp

 テキトーに30分くらいで書いた記事が予想外に拡散されてしまったことで全然関係ない人にまで「トンチキ舞台」の称号が(称号なのか?)広まってしまった舞台「戦刻ナイトブラッド」も昨日無事に幕を閉じた。 何回も戦ブラを見ているであろう人たちが誰もスタオベをせずみんなまたこれをやられたら困るなと内心思っていることが判明したりと最後までかなり面白かった。私のブログを読んでチケットを買ったという人から5人くらいメッセージが来てかなりうれしかったです。ありがとうございます。多分売り上げに貢献していると思うので、マーベラスさん、チケットバックください。

 

直江兼続の憂鬱

 「戦刻ナイトブラッド」劇中における上杉軍は3人である。あたかも「最初から僕ら3人で~す」みたいな顔をしているが原作では他にも人がいるらしい。いるんかい。石田三成はちゃんと「黄金火山に行っている」ということにされているのに、上杉軍のその他の人たちが普通になかったことにされているのが謎である。

 それはさておき、上杉軍は会社に例えるなら「絶対的トップの社長・上杉謙信」「中間管理職・直江兼続」「二代目の息子・上杉景勝」というような構成になる。同族経営である。これを踏まえて劇中の直江兼続を見るとなんか悲しい。よくよく考えてみると直江兼続の劇中での行いといえば、

・ダメな二代目の息子を稽古(という名のパワハラ)してシバきまくる

・上司にお酌

上司のカラオケに合わせて一生懸命踊る

・二代目の息子の失敗(豊臣軍によるヒロイン拉致)の責任を取って上司に平謝り

 というようなもので、これはなかなかに中間管理職っぽい日々を直江兼続が過ごしていることがわかり、悲しい気持ちになる。ちなみに原作では直江兼続上杉景勝は幼馴染的設定らしく、上杉軍の大人組がお酒を飲んでいるときに2人はジュースを飲んでいるというほのぼの描写があったりするらしいのだが、舞台ではどう考えても兼続が景勝をシバきまくっているようにしか見えなかった。 上杉軍といえば歌のタイトルにもあるように「正義」を掲げており、作中3軍のうち唯一ヒロインの人権を重視していたりしてそれなりにホワイトっぽく見えるのだが、内部で中間管理職が二代目をシバきまくっていたりするので、もしかするとそんなこともないのかもしれない。

 兼続が上司のカラオケに合わせて一生懸命太極拳ダンスを踊っている一方で、その上司の息子はオオバコを持ってうろうろしていたりするわけで、兼続の苦労が窺い知れる。がんばれ兼続、天下統一のその日まで。

 

医療行為のオオバコ比率

 舞台「戦刻ナイトブラッド」劇中では、切り傷や打撲などのケガ全般に対する医療行為っぽいもののうちオオバコの葉が占める割合が70%くらいに及ぶ。(包帯、オオバコ、オオバコ入り粥、オオバコをすりつぶしたもの、オオバコ入りの薬、といった内訳)戦国時代とはいえ、いろいろと雑すぎやしないか。明智光秀は左腕をケガしているが、あくまでも風邪ではなくケガなので冷静になってみると蘭丸が粥を持ってくるのはちょっとよくわからない。胃腸の方は元気そうなので普通のご飯を与えたほうがよいのではないだろうか。光秀だって唐揚げとか食べたいかもしれない。知らんけど。

 あまりにもオオバコに対して全幅の信頼が寄せられすぎているため、オオバコの効用について調べてみた。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%83%90%E3%82%B3

種子、全草とも煎じて用いられ、服用すると咳止め、たんきり、下痢止め、消炎、むくみの利尿に効用があるとされる。また、葉も種子も熱を冷ます効用がある。 

  武将のみなさん、多分ですが、ケガにはオオバコは効きません。

 

障子とキャベツ

 あまりにも背景の映像や音響や照明がところどころテキトーであるため、我々はマチソワ間などに「もしかしたら全部代アニの学生が作らされているんじゃないか」という悪口を言っていた。この悪口は本当に無根拠なので違ったらゴメンという感じである。

 しかし明智光秀の部屋にヒロインが見舞いにいくシーンで光秀の部屋の障子が建物を破壊している開き方をしていたり、千秋楽で照明が音を立ててぶち壊れていたり、時折音響の様子に異常をきたし黒田官兵衛の紹介シーンで槍の降るSEが鳴りまくったり(官兵衛死んでない?)となかなか愉快な様相を呈していた。 光秀障子シーンに関しては、あまりにもテキトーすぎて私はアニメ「夜明け前より瑠璃色な」のキャベツを思い出すなどしてやりすごしていた。

dic.nicovideo.jp

 懐かしい。

 

たのしい豊臣軍

 ヘンゲンジザイに踊りまくる豊臣軍は全体的にハチャメチャな軍である。そもそも豊臣領下の人間がみんな同じ前髪なのが謎だし。そういう法律でもあるの?

 豊臣軍は皆楽しそうなので見ていてこちらも楽しい。しかし身内ノリすぎて、秀吉は軍師である官兵衛に風呂を沸かすように命じたりしているのが気になる。そりゃ官兵衛も「誰か~~!!」って呼ぶよ。そりゃ誰かの仕事だよ。誰かは知らんけど。多分それは間違いなく軍師の仕事ではないよ。

 時間稼ぎのためとはいえ、出陣の目的で秀吉とヒロインが揉めている最中に「出陣の準備」と称して豊臣軍のたのしいフレンズがやっていることは、

・官兵衛→本を読む

・半兵衛→傘を開いたり閉じたりする

・利家→胸のとこのヒモをゆっくりほどいてゆっくり結び直す

 といった具合で、君らはいったい何を準備しているんだ感が拭えず、最後まで謎のままであった。「準備完了しましたっ」と官兵衛がハキハキ宣言しているが、どう考えても「話はそろそろ終わりましたか?」という威圧である。忖度って大変ね♩

 宴のシーンも、あまりにも突然曲が始まるので考える隙を与えてくれないのだが、よくよく考えてみると人間をかっさらってきて「天下統一できる!」と喜んでって、どう考えても不謹慎でしょーが…という気持ちになる。人道的観点ゼロ。

 秀吉はヒロインに「いつかみんなを豊臣領で笑顔にしたいからそのために天下統一するわ!だから俺と結婚しろ!」みたいなことをかっこよく言ったりするが、その直後に織田と上杉ぶっ殺す計画を立てているので情緒ゼロなのが最後まで心配になった。オタクが「秀吉は繋がりの女全員をあそこに連れて行って同じことをしている」という悪口(無根拠)を言っていたのが面白かった。炎上する秀吉。戦国時代にツイッター無くてよかったですね。

 あとヒロインがさっきまで景勝の耳を触っていたのにとうきちに触るのは断固拒否だったのがちょっと面白い。顔か。結局顔なのか。そうなのか。

 

ふしぎな織田軍

 クロソマレの破壊力で観客を置き去りにすることで話題になった織田軍の皆さんだが、実はクロソマレは織田信長以外を凝視していればそんなに破壊力はなかったりする。というのは私が観劇5回目くらいで気付いたのだが、信長だけがサビで急に踊るからなんか面白いのであって、これはにゃんこスターというか、「お前も踊るんか~~~い!!」という気持ちで笑ってしまう、というのが間違いなくある。不思議である。あとあのものすごくイカツイ衣装で急に踊るので面白い。急に縦に並んだりせず、急に踊らなければそんなに面白くなかったと思うので改めて「クロソマレ」は奇跡の曲である。 「先見の明~♩動向不明~♩」と歌っているが、先見の明が動向不明なのは間違いなくキミらだよと思ってしまう。出陣前に歌ってるし。というか光秀がさっきまで左腕を負傷していたのに突然ガシガシ踊っているので混乱するが、回復のくだりは暗転中に3行くらいのセリフで済まされている。厄魔を探してぶった切る前に歌うな。なんかオモロいので。

 なぜか信長だけがピンポイントで面白いという件を認識してからクロソマレを見ると、サビで他のメンバーを見ていると面白くないのに信長に目をやるとなんか面白いという不思議現象が起こる。同じ舞台上でみんなが同じことをやっているのになぜか一点だけが集中して面白いというのは怪奇現象だ。なかなか起こることではない。キツネにつままれたような気持ちだった。

 歌終わりに蘭丸がヒロインに「何してるんですか?結月さんも行きますよ」と語りかけるが、キミらが何してるんだという感じである。

 

ストライクウィッチーズ戦刻ナイトブラッド

 オリジナルアニメシリーズ「ストライクウィッチーズ」と戦刻ナイトブラッドは何となく似ている。しかしスト魔女はこんなにトンチキではない(パンツと尻のあいだに敵を挟んで倒したりしているのでややトンチキだが、ちゃんと感動する回もある)。

・歴史上の人物の美少女・イケメン化(スト魔女→エースパイロットの美少女化、戦ブラ→戦国武将のイケメン化)

・史実にはない架空の敵(スト魔女ネウロイ、戦ブラ→厄魔)

・その敵とのコミュニケーションは取れない

・敵に人々の生活が脅かされており、一部の特殊能力を持つ者がその敵を倒す

・史実にはない架空の場所(スト魔女→扶桑やロマーニャ、戦ブラ→神牙)

・特殊設定・けもみみ(スト魔女→ウィッチ、戦ブラ→月牙族)

 という感じで似通った点がけっこう多い。スト魔女はざっくりいうと、史実では第二次世界大戦で活躍した各国のエースパイロットを元ネタに、国を越えてドリームチームを結成し、異形の敵と戦ったらどうなるのか?あとパンツとけもみみ、みたいなアニメだ。私はめちゃくちゃスト魔女のファンなのでこの機会に宣伝します。みなさん見てください。


「第501統合戦闘航空団 ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN」PV第1弾

 スト魔女と戦ブラで致命的に違うのは、スト魔女世界におけるウィッチは人類を脅かすネウロイに対抗するために統合戦闘航空団を結成し、国境を越えてネウロイと戦っているのだが、戦ブラ世界における武将たちは厄魔に街を焼かれたりしてるのに各々が天下統一を目指して月牙族同士でなんかモメている。どう考えても、天下統一とか別にいいので月牙族のみなさんですみやかに連合軍を結成して厄魔を倒してほしい。 上杉軍のシーンで景勝が「ヒロインのために軍を動かすのは違うので一刻も早く厄魔を倒すべきです」的な主張をしているが、本当にその通りで、ヒロインをめぐってなんかモメている場合ではない。厄魔やばいだろ。普通に。人々の生活脅かされてるし。

 

 愉快な夏でしたね。(以上)