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舞台、俳優DD、サブカルかぶれ等

最も売れている楽曲派アイドル、嵐説

 たまに嵐のことを思い出す元嵐担です。

 嵐担としての経歴は以前のエントリでも書いた通り(http://plus14.hateblo.jp/entry/2016/04/22/173350)実は5~6年しかリアルタイムで嵐を見ていなかったという涙の出るショボさなのですが、それでも嵐の楽曲については人一倍聴いていただろう、という謎の自信があります。

 俳優厨を経て「楽曲派」と呼ばれる地下アイドルの音源を聴くようになりましたが、「楽曲派」的な方面に詳しい評論家の方々からは基本的にジャニーズは軽蔑されがちです。嵐なんて以ての外です。当然です。シングル曲などのテレビ番組で歌われる曲の詞には「平和・夢・恋愛・地球」しか書かれていないからです。こんなことを断定的に書いてしまうと嵐担警察が飛んできて歌詞解析のブログでも引用しながら「そんなことねえよ」とブコメで小一時間は説教されてしまいそうなのですが、ジャニーズなんてどうでもいいという一般人の意見とはそういうものです。

 私もジャニーズ、特に嵐の楽曲に対するそのような見方については悲しいものがあるのですが、その反面、年末歌番組で歌われる代表曲が未だに「Love so sweet(2007)」という現状をみれば仕方ないかなとも思います。Love so sweetもヲタ卒して3年くらい経ってから聴いてみると万人受けする詞・クセの全くないコード進行・歌いやすく覚えやすいメロディーラインと三拍子揃った完璧なヒットナンバーであることに気づけるのですが、正直嵐担だった頃は歌番組でリアルにLove so sweetしかやらないので、まねきケチャのオタク風に言うと「またこれかよ!マンネリ!」という状態でした(参照:地下アイドルまとめブログ:まねきケチャ 「またこれかよ!マンネリ!」と叫ばれ、松下玲緒菜さん崩涙 「演者のリズムを狂わすような高速手拍子、バラード曲やオチサビでの合唱」が禁止)。素直に言いたいことが言えるオタクが羨ましいです。 ていうかもうラブソーから10年経ってんのかよ……。

 しかし「ゴリ押し」との悪名高かったLove so sweetもOne Love(2008)もワイルドアットハート(2012)のことも一旦忘れて、マイナー曲に注目すれば、かなり意欲的な挑戦作が嵐には提供されています。シングル曲の意味の解説とかは散々どっかのはてブロで書かれていると思うので、好きなマイナー曲を淡々と紹介するよという、そういうエントリです。

 余談ですが、嵐が旧国立競技場の取り壊し前に「アラフェス」(ファン投票によってセットリストを決める公演)を開催できたのは、取り壊しをする前のどさくさに紛れたからなのではないかと今勝手に思ってしまっています。取り壊しに直面する前の「AAA2008」「5×10」「風景」「BW」では、愛!平和!地球!というテーマを歌ってなんとかコンサートを開催する上でのお題目みたいなものを掲げていた印象が拭いきれなかったのですが(後年になるほど地球の平和度は上がり、BWコンは特に震災直後ということもあって終始地球の平和を祈っていた気がする)翌年になって突然ヲタ媚びコンを開催します!という急展開になったのは、どう考えても取り壊しのどさくさに紛れてです。実際とことんヲタ媚びコンだったかというと、それはセットリスト(ARASHI アラフェス NATIONAL STADIUM 2012 - Wikipedia)参照の通り、やはり新規に気を使ってます感は否めなかったのですが……。

 ちなみに、今の地下アイドルにおけるいわゆる「正統派」はよく乃木坂・欅坂系なのかと聞かれますが、どちらかといえばでんぱ組.incのパクりのパクりみたいな原宿系アイドルが多いです(地下アイドルまとめブログ:原宿系アイドル、見分けがつかない 「全部一緒に見えるな、、、」参照)。正統派の地下アイドルは、オタクがむやみにびよんびよん飛んでいたり、ウェイな大学生が多かったりします。怖いのであまり近寄りません。

 私の知る中で最も「中期の嵐っぽい」曲をやる地下アイドルはHauptharmonieです。オタクがジャージャー言ってますが無視して聴いてみてください。「パラレルワープ」がOne(2005)あたりに混ざっていても違和感なく聴ける自信があります。

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埋もれの名曲たち

野性を知りたい / ARASHI No.1~嵐は嵐を呼ぶ~(2001)

 初期SexyZoneのアルバムを聴くとこの曲を思い出す。(特に「one Sexy Zone」所収「IF YOU WANNA DANCE」は似たような路線だと思う)最も面白いのはかなり正統派テクノ(あくまでもエレクトロニカではなくテクノ的である)を意識している点で、構成としてはシンセとドラムマシンとコーラスしか使っていない。ごちゃごちゃせずにシンプルなので聞きやすい。イントロや2番Aメロにみられる謎の声など、違和感があるという人もいるらしいけど、個人的には再生Yellow Magic Orchestraの「BE A SUPERMAN」に入っているウィリアム・バロウズの声のようで(コンセプト的には「TECHNODON」と同じものを感じる。シンセの浮遊感などがアンビエントの影響そのものなので)かなり良いと思う。

 

星のFreeWay / HERE WE GO!(2002)

 この頃の嵐はまだボーカルの修正が弱く、特に本曲のAメロなどでは安定しない各メンバーのボーカルを聴くことができる。そういう意味で貴重かもしれない。意識しないとあまりわからないが「果てないLong Way 遥かなDream Way」の独特のリズム感に耳を傾けると興味深い。また、演奏はかなりポップ寄りのジャズ的であるにもかかわらずアイドルソングの典型的なPPPHリズムがBメロで展開され、見事にオシャレな音と融合している。間奏で繰り広げられる、特にドラムのグルーヴ感がアイドルには珍しい。

 

コイゴコロ / とまどいながら(シングル, 2003)

 後述する「CARNIVAL NIGHT part2」にも見られる、若干切ないラブソング(たいてい独りよがりな詞である)路線はこの曲でピークに達したのではないかと個人的には解釈している(その後は純粋に嵐の5人が大人になっていったこと、売れ線狙いなどにより歌われなくなったのかもしれない)。よく嵐は他のジャニーズに比べて親近感があった、親しみやすかったと言われるが、アリーナクラスで公演をするアイドルが「コイゴコロ」みたいな詞を歌うのもその一因だったのかもしれない。(このあとジャニーズはKAT-TUNなどのゴリゴリ路線に走るようになるので、なおさら嵐の「(よく言われる)近所のお兄さん感」が強まったとも考えられる)

 

身長差のない恋人 / How's it going?(2003)

 ヲタに「嵐の名盤は?」と聞くと、One(2005)に並んで挙げられることの多いHow's it going?であるが、最も売れなかったことが不思議なくらい名曲揃いである。特にロングイントロ・長尺曲を取り入れたという意味においてはかなりプログレッシブであるといえる。本曲も1分超えのイントロ、全6分15秒という長尺を持ち、カラオケで入れると気まずいことに定評がある。作曲の長岡成貢氏はアニメ「ストライクウィッチーズ」の劇伴も担当する名手。How's it going?の中でも、特に本曲は最も「ロック」的であるといえるのではないだろうか。

 

Walking in the rain / How's it going?(2003)

 How's it going?を評価するなら本曲を捨て置いて書くことはできないのではないかというくらい強烈な印象感を残す曲。間奏と大サビ、そしてアウトロで唐突かつパワフルに入り込んでくる乾燥したピアノ(かなり強いタッチで、その上プリペアド・ピアノかっていうくらい鋭い音を出している)の音が耳から離れない。また、一般的な四拍子を全く刻む気がないリズムマシンも良い。ピアノとリズムマシンの2つの要素で、全くそういう雰囲気ではないのにも関わらずジャズ的な印象が残る(この独特のリズム感は矢野顕子の弾き語りなどに近いかと思う)。

 

JAM / いざッ、Now(2004)

 「無秩序と秩序すり抜ける~」のコーラスの層が厚すぎてどこがメインボーカルなのかわからないくらいコーラスの層が厚い。非常に個人的な解釈ではあるが、ストリングスを嵐が多用し始めたのは恐らく「いざッ、Now」からではないかというくらい印象的なストリングスの使い方をしている。間奏でのストリングス+ドラム+ベースのスラップという組み合わせ、突然大人になった詞など、新境地を切り開いたという感じが強烈。

 

風見鶏 / One(2005)

 純粋にいい曲なのだが、その反面、紅白の司会をやって以降の嵐に顕著である平和・環境・愛国路線の原点をくみとることができる貴重な曲でもある。というのも、あまりにも「ふるさと」という曲がシンボリックになりすぎて、嵐に対して「いや君らは一体日本国のなんなんだよ」と思う瞬間も多かったし、嵐があのようになったルーツを探っていく中でどうしても「風見鶏」を避けて通ることはできないと思う。 シンボリック路線をやるならこれくらいの度合いがちょうどいい。「風見鶏夏の終わりを遠くに見て何を思う/露草に想いを馳せて駆け抜けた頃に戻って」いい加減ではないだろうか。 個人的にはお宝音源で出回っている二宮くんの歌っているやつが好き。

 

CARNIVAL NIGHT part2 / ARASICK(2006)

 いわば、嵐がデビューアルバムからずっと歌ってきた、やや明るく突き抜けながらも切ない詞を歌い上げる「ほろ苦ラブソング」最後の砦である(Time(2007)の「Love Situation」で完全に当該路線からは脱却し、以降同じテーマを歌ったとしてもDream "A" live(2008)所収「Flashback」のようにポエティックで要領を得なくなる。Flashbackは名曲だが、それまでの「具体的にこうして振られてああいうことがあったなと回想して悲しい」みたいな路線からは一線を画すことになる)。

 また、嵐に興味があれば誰でも知っているが嵐に興味が無いと誰も知らないという摩訶不思議な曲。ここまでヲタ知名度と一般知名度が乖離しているのは珍しいのではないか(「EYES WITH DELIGHT」(いざッ、Now(2004)所収)もなかなかのものだと思うけど、CARNIVAL NIGHT part2にはさすがに負けると思う)。地味にみな忘れがちではあるが、CARNIVAL NIGHTと謳いながら安易にファンキー路線に走らないところは明確に評価すべきである。よくよく曲を聴いてみると、肝心のカーニバル色はどこにもない。当然だ。この曲は彼女とカーニバルに行きたかったのに行けなかった悲しい男の歌なので、あまり陽気だと雰囲気が損なわれてしまう。

 

COOL&SOUL / ARASICK(2006)

 「嵐に文学性がある」という、ヲタが「人間は酸素で生きている」くらいのノリで当然のように語る文脈が理解できない人も多いと思うが、一応それを理解するためには必須である曲。「ya so cute二番煎じ」がKAT-TUNをディスっているという話もあるが、フリースタイルダンジョンでラッパーは息を吸うように同業者をディスると学んだのであまりそこについて深く考えなくてもいいと思う。また、「嵐」というジャニー喜多川社長が恐らくあまり考えないでつけたであろうグループ名が日本神話と組み合わせた文脈で語られ始めた貴重なターニングポイント。

 

let me down / 僕の見ている風景(2010)

 シドの「妄想日記」ほど直球ではないのでなんとなくかっこいいダンスナンバーに聞こえてしまうが、れっきとしたストーカーソング。色々なヤンデレキャラのイメソンとしてもっとオタ女子の間で取り上げられてもいいと思うのだけど挙げられているのを見たことがない。売り上げ的に絶頂期でベストアルバム「5×10」の次のアルバムという途方もないプレッシャーがかかる「僕の見ている風景」Disc1のラストにこれをぶっ込んでくる嵐、信用できると思う。

 歌詞のところどころが心に刺さってくる。「とどのつまりはいつだって君と君だけの世界で」と平然とボカロの病み曲みたいなことを言ってくる。ジャニーズ曲、EDMやりがち問題についてはかなりの数のジャニヲタが認識していると思うが、本曲ではベースにEDMを取り入れながらも金管楽器を前面に押し出してマンネリ感を払拭しているのも評価できる。

 似たような路線の曲に大野ソロの「Hit the floor」/LOVE(2013)があるが、こちらはイントロ→Aメロの繋ぎ(another world 行こう君と→泡の消えそうなグラスは)などに見られるギターフレーズの強い印象でやはりダンスミュージック感を払拭している。こちらも良くヤンデレ曲と言われる(むしろこちらの方が有名かもしれない)。大野ソロ・メイン曲には「Rain」「Ready To Fly」など、どことなく終末的な雰囲気を漂わせるものが多い(Ready To Flyは明るいが、「飛ぼう」が意味深で怖い)。

 

Up to you / Popcorn(2012)

 Bメロ→Cメロ(感じるままに踊るだけ~何度も羽ばたく君ならFly)、Cメロ→サビのトリッキーなコード進行が癖になるキラーチューン。アルバム「Popcorn」ではラストに収録されているのにツアーでは1曲目にぶつけてくるのが痺れる。Beatiful World(2011)の地球平和祈願路線から一転してハッピーでキャッチーを追求したPopcornのテーマに沿うように、「Don't stop music いつまでも」で急にリズムを踏み始めるのがどこまでもキャッチーで良い。「Popcorn」は明らかにサビだけ先に作って後からAメロBメロを付け足した曲が目立つが(日産のCMソングになっていた「駆け抜けろ!」はAメロBメロがどう聴いても松任谷由実の曲なのにサビで突然さわやかジャニーズ路線になる)Up to youに関してはあまり繋ぎ目が気にならない。コードの運びの上手さが段違い。

 

 他にもPIKA★★NCHI DOUBLEとか好きなんですがメジャーすぎるかなと思ったので除外しました。

 一応エントリを書くにあたって全アルバムを通して聴いてみたんですが「THE DIGITLIAN」以降はコンサート映像を見ていないことも相まっていまいち耳に残らないですね。ただ「Japonism」のコンセプト自体はピチカート・ファイヴの「さ・え・らジャポン」みたいで良いなとは思いました。しかし最新アルバム「Are You Happy?」に関してはやっぱり解散した某グループのような無難な路線に入っていると思わざるを得なかったのが正直なところです。年齢も相まってかなりの守りに入っているのでしょうが、楽曲的にもうあまり期待はできないのかなと思ってしまいます。中期嵐曲の幽霊と呼んでくだだい。というかストリングス路線を取り入れ始めた「いざッ、Now」あたりにはまだ新鮮さがあるのですが、数えて13年近くも同じ路線をやっているとなるとヲタの人も飽きてしまうのではないかと思います(EDMはすでにアイドル業界で飽きられていますし)。

 その点、菅野よう子、いしわたり淳治、岡崎体育、ユニコーンなど「こいつらを呼んどけばうるせえ楽曲派も黙るだろ」的なパンチのある人選をしてくる最新アルバムを出すという話の関ジャニ∞は良くわかってるなと思います。ここに岡村靖幸あたりを入れればサブカル層は全員爆風に飛ばされて死にます。

 

 というわけで久しぶりに嵐のことを思い出したら懐かしい気持ちになりました。

 久々にAAA2008とか見ようかなと思いました。