I READ THE NEWS TODAY, OH BOY

舞台、俳優DD、サブカルかぶれ等

北海道旅行の記録

 

 家族で定期的に北海道・札幌に旅行にいく。舞台「戦刻ナイトブラッド」を3日半サボって行った。何をするかというとホテルに泊まってダラダラと酒を飲んだりご飯を食べたり酒を飲んだりするだけである。私の母は「外食は知らない人に話しかけられるので苦痛」らしく結果父と私と妹などで外食をすることになる。父と2人で飲みにいくこともある。昨年も行ったが3kg増えた。今回も2kg増えたが酷暑の中「戦刻ナイトブラッド」に5日間行ったら元に戻った。

炭焼炉ばた くし路 すすきのビル店

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 カニとかうにとか牛タンとか牡蠣とかを食べた。母はたまねぎやアスパラを一心不乱に食べていた。札幌に着いてはじめてサッポロクラシックを飲んだけどやっぱり美味しい。シメに雑炊を食べようと思ったら茶碗3杯ぶんくらいの米がはいった雑炊が出てきてびっくりした。


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洋菓子 きのとや 大丸店

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 札幌に帰省しているオタクと遊んだ。きのとやのソフトクリームが食べたかったので大丸の地下に行ったら隣に並んでいるオタク2人組が思いっ切りA3!をやっていて即死してしまった。ソフトクリームは甘くて美味しかった。延々とオタクとオタクエピソードの話をしていたらいつの間にかA3!のオタクたちは帰っていた。

 

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 人生で札幌に行くのは4度目くらいだが地味に初めてテレビ塔の下に行った。特に何も無かった。テレビ塔にはのぼらなかった。何もなさそうなので。外国人が楽しそうに写真撮影をしていた。

 

五坪

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 厚岸産のカキが1個100円で食べられるという価格崩壊がスゲー店でいろいろと心配になった。店内のイスに座るとワンドリンクかかるけどビールも500円くらいで大丈夫か!という気持ちになった。明るく気さくなおねーちゃんがカキを手際よく焼いたり蒸したりしてくれた。どれも美味しい。蒸し牡蠣がいちばん好きで、つるつるしていて味わいもまろやかでよい。ごま油漬けもおいしい。ビールに合う。父と2人でしぬほどカキを食べたのに会計が2500円くらいで札幌スゲーと思った。すすきのにあります。立ち食いできます。サッと牡蠣を食べてサッと帰るのにも飲むのにもオススメ。教えてくれたフォロワー、センキュ―。

 

北海道テレビ本社

 

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 父も私も「水曜どうでしょう」マニアなので聖地巡礼をしに行った。仮にもテレビ局なので立派な建物なのかと思いきや予想の500倍くらいちっちゃい建物で腰が抜けた。周りにも何も無くてただの住宅地だった。onちゃんがいっぱいロビーにいたが、ロビーもTBSのロビーの1/100くらいしかなかった。地下駐車場という概念もなく、ただ建物の向かいに野ざらしの駐車場があるのみで、色々と大丈夫なのかな……と思うばかりだった。

 

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 カフェでonちゃんパンケーキなるものを食べた。普通においしかった。カフェは別にonちゃんコラボ専用というわけでもなく、普通にからあげ丼などがメニューにあり、端的に申し上げると社員の出前用じゃんか……と思った。

 

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 次回予告でおなじみの例の公園に行った。本当にテレビ局から徒歩30秒くらいのところにあり、近すぎて変な声で笑ってしまう。映像で見るよりも広い。普通の公園なので、普通の子供さんが普通に遊んでいる。東京から来た父と私は、ニヤニヤしながら同じアングルの写真をただパシャパシャと撮り、「次回予告だね~……」と言いながらまた地下鉄の駅に歩いて戻った。

 

函館うに むらかみ 日本生命札幌ビル店

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 うにサーモン丼を食べた。ムラサキウニをしぬほど食べ、脳細胞が死滅していく感覚があった。ウニがしぬほど米の上にのっており、ウニ味の米でサーモンを食べるという、意味不明な体験ができる。 父は中学の運動部男子のように米をおかわりしていた。バフンウニの塩水漬けも食べた。非常に上品な味わいでとてもよい。日本酒などと一緒に食べたい。

 

六花亭 札幌本店 喫茶室

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 抹茶かき氷を食べた。なんか練乳みたいなやつをたぶん凍らせて削っていて大変口の中がシアワセな感じになる。掘り進んでいくと一番下にあずきが敷いてあり、びっくりする。おいしい。父は49歳だが、笑顔でいちごパフェを頼んでいた。目の前で、49歳男性(IT企業勤務)がいちごパフェを食べる光景が繰り広げられており、脳が混乱した。 おいしかったので1階のショップでお土産を買ったが、これでは六花亭の思うツボではないか。まあいいか。おいしかったし。

 

らーめん鷹の爪 新千歳空港

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 ラーメン道場の一角にある。なんだかホッとする味の懐かしい醤油ラーメンだった。私は情緒がおかしいので旅行中基本的に常に飲酒をしていたのだがこの北海道ヴァイツェンも小麦の味わいが深くとてもよいビールだと思った。ちなみにこれを食べてから飛行機に乗り、羽田に着陸後私だけ家族と別行動をして天王洲銀河劇場で「戦刻ナイトブラッド」を観てから帰った。ダチに「かわいそう・・・」と言われた。家族旅行の思い出が謎の手によって塗り替えられてしまったが(キミは平成最後のトンチキ舞台「戦刻ナイトブラッド」を観たか - I READ THE NEWS TODAY, OH BOY)、オタクなのでしかたない。

 

舞台「戦刻ナイトブラッド」の終焉(短文集)

plus14.hateblo.jp

 テキトーに30分くらいで書いた記事が予想外に拡散されてしまったことで全然関係ない人にまで「トンチキ舞台」の称号が(称号なのか?)広まってしまった舞台「戦刻ナイトブラッド」も昨日無事に幕を閉じた。 何回も戦ブラを見ているであろう人たちが誰もスタオベをせずみんなまたこれをやられたら困るなと内心思っていることが判明したりと最後までかなり面白かった。私のブログを読んでチケットを買ったという人から5人くらいメッセージが来てかなりうれしかったです。ありがとうございます。多分売り上げに貢献していると思うので、マーベラスさん、チケットバックください。

 

直江兼続の憂鬱

 「戦刻ナイトブラッド」劇中における上杉軍は3人である。あたかも「最初から僕ら3人で~す」みたいな顔をしているが原作では他にも人がいるらしい。いるんかい。石田三成はちゃんと「黄金火山に行っている」ということにされているのに、上杉軍のその他の人たちが普通になかったことにされているのが謎である。

 それはさておき、上杉軍は会社に例えるなら「絶対的トップの社長・上杉謙信」「中間管理職・直江兼続」「二代目の息子・上杉景勝」というような構成になる。同族経営である。これを踏まえて劇中の直江兼続を見るとなんか悲しい。よくよく考えてみると直江兼続の劇中での行いといえば、

・ダメな二代目の息子を稽古(という名のパワハラ)してシバきまくる

・上司にお酌

上司のカラオケに合わせて一生懸命踊る

・二代目の息子の失敗(豊臣軍によるヒロイン拉致)の責任を取って上司に平謝り

 というようなもので、これはなかなかに中間管理職っぽい日々を直江兼続が過ごしていることがわかり、悲しい気持ちになる。ちなみに原作では直江兼続上杉景勝は幼馴染的設定らしく、上杉軍の大人組がお酒を飲んでいるときに2人はジュースを飲んでいるというほのぼの描写があったりするらしいのだが、舞台ではどう考えても兼続が景勝をシバきまくっているようにしか見えなかった。 上杉軍といえば歌のタイトルにもあるように「正義」を掲げており、作中3軍のうち唯一ヒロインの人権を重視していたりしてそれなりにホワイトっぽく見えるのだが、内部で中間管理職が二代目をシバきまくっていたりするので、もしかするとそんなこともないのかもしれない。

 兼続が上司のカラオケに合わせて一生懸命太極拳ダンスを踊っている一方で、その上司の息子はオオバコを持ってうろうろしていたりするわけで、兼続の苦労が窺い知れる。がんばれ兼続、天下統一のその日まで。

 

医療行為のオオバコ比率

 舞台「戦刻ナイトブラッド」劇中では、切り傷や打撲などのケガ全般に対する医療行為っぽいもののうちオオバコの葉が占める割合が70%くらいに及ぶ。(包帯、オオバコ、オオバコ入り粥、オオバコをすりつぶしたもの、オオバコ入りの薬、といった内訳)戦国時代とはいえ、いろいろと雑すぎやしないか。明智光秀は左腕をケガしているが、あくまでも風邪ではなくケガなので冷静になってみると蘭丸が粥を持ってくるのはちょっとよくわからない。胃腸の方は元気そうなので普通のご飯を与えたほうがよいのではないだろうか。光秀だって唐揚げとか食べたいかもしれない。知らんけど。

 あまりにもオオバコに対して全幅の信頼が寄せられすぎているため、オオバコの効用について調べてみた。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%83%90%E3%82%B3

種子、全草とも煎じて用いられ、服用すると咳止め、たんきり、下痢止め、消炎、むくみの利尿に効用があるとされる。また、葉も種子も熱を冷ます効用がある。 

  武将のみなさん、多分ですが、ケガにはオオバコは効きません。

 

障子とキャベツ

 あまりにも背景の映像や音響や照明がところどころテキトーであるため、我々はマチソワ間などに「もしかしたら全部代アニの学生が作らされているんじゃないか」という悪口を言っていた。この悪口は本当に無根拠なので違ったらゴメンという感じである。

 しかし明智光秀の部屋にヒロインが見舞いにいくシーンで光秀の部屋の障子が建物を破壊している開き方をしていたり、千秋楽で照明が音を立ててぶち壊れていたり、時折音響の様子に異常をきたし黒田官兵衛の紹介シーンで槍の降るSEが鳴りまくったり(官兵衛死んでない?)となかなか愉快な様相を呈していた。 光秀障子シーンに関しては、あまりにもテキトーすぎて私はアニメ「夜明け前より瑠璃色な」のキャベツを思い出すなどしてやりすごしていた。

dic.nicovideo.jp

 懐かしい。

 

たのしい豊臣軍

 ヘンゲンジザイに踊りまくる豊臣軍は全体的にハチャメチャな軍である。そもそも豊臣領下の人間がみんな同じ前髪なのが謎だし。そういう法律でもあるの?

 豊臣軍は皆楽しそうなので見ていてこちらも楽しい。しかし身内ノリすぎて、秀吉は軍師である官兵衛に風呂を沸かすように命じたりしているのが気になる。そりゃ官兵衛も「誰か~~!!」って呼ぶよ。そりゃ誰かの仕事だよ。誰かは知らんけど。多分それは間違いなく軍師の仕事ではないよ。

 時間稼ぎのためとはいえ、出陣の目的で秀吉とヒロインが揉めている最中に「出陣の準備」と称して豊臣軍のたのしいフレンズがやっていることは、

・官兵衛→本を読む

・半兵衛→傘を開いたり閉じたりする

・利家→胸のとこのヒモをゆっくりほどいてゆっくり結び直す

 といった具合で、君らはいったい何を準備しているんだ感が拭えず、最後まで謎のままであった。「準備完了しましたっ」と官兵衛がハキハキ宣言しているが、どう考えても「話はそろそろ終わりましたか?」という威圧である。忖度って大変ね♩

 宴のシーンも、あまりにも突然曲が始まるので考える隙を与えてくれないのだが、よくよく考えてみると人間をかっさらってきて「天下統一できる!」と喜んでって、どう考えても不謹慎でしょーが…という気持ちになる。人道的観点ゼロ。

 秀吉はヒロインに「いつかみんなを豊臣領で笑顔にしたいからそのために天下統一するわ!だから俺と結婚しろ!」みたいなことをかっこよく言ったりするが、その直後に織田と上杉ぶっ殺す計画を立てているので情緒ゼロなのが最後まで心配になった。オタクが「秀吉は繋がりの女全員をあそこに連れて行って同じことをしている」という悪口(無根拠)を言っていたのが面白かった。炎上する秀吉。戦国時代にツイッター無くてよかったですね。

 あとヒロインがさっきまで景勝の耳を触っていたのにとうきちに触るのは断固拒否だったのがちょっと面白い。顔か。結局顔なのか。そうなのか。

 

ふしぎな織田軍

 クロソマレの破壊力で観客を置き去りにすることで話題になった織田軍の皆さんだが、実はクロソマレは織田信長以外を凝視していればそんなに破壊力はなかったりする。というのは私が観劇5回目くらいで気付いたのだが、信長だけがサビで急に踊るからなんか面白いのであって、これはにゃんこスターというか、「お前も踊るんか~~~い!!」という気持ちで笑ってしまう、というのが間違いなくある。不思議である。あとあのものすごくイカツイ衣装で急に踊るので面白い。急に縦に並んだりせず、急に踊らなければそんなに面白くなかったと思うので改めて「クロソマレ」は奇跡の曲である。 「先見の明~♩動向不明~♩」と歌っているが、先見の明が動向不明なのは間違いなくキミらだよと思ってしまう。出陣前に歌ってるし。というか光秀がさっきまで左腕を負傷していたのに突然ガシガシ踊っているので混乱するが、回復のくだりは暗転中に3行くらいのセリフで済まされている。厄魔を探してぶった切る前に歌うな。なんかオモロいので。

 なぜか信長だけがピンポイントで面白いという件を認識してからクロソマレを見ると、サビで他のメンバーを見ていると面白くないのに信長に目をやるとなんか面白いという不思議現象が起こる。同じ舞台上でみんなが同じことをやっているのになぜか一点だけが集中して面白いというのは怪奇現象だ。なかなか起こることではない。キツネにつままれたような気持ちだった。

 歌終わりに蘭丸がヒロインに「何してるんですか?結月さんも行きますよ」と語りかけるが、キミらが何してるんだという感じである。

 

ストライクウィッチーズ戦刻ナイトブラッド

 オリジナルアニメシリーズ「ストライクウィッチーズ」と戦刻ナイトブラッドは何となく似ている。しかしスト魔女はこんなにトンチキではない(パンツと尻のあいだに敵を挟んで倒したりしているのでややトンチキだが、ちゃんと感動する回もある)。

・歴史上の人物の美少女・イケメン化(スト魔女→エースパイロットの美少女化、戦ブラ→戦国武将のイケメン化)

・史実にはない架空の敵(スト魔女ネウロイ、戦ブラ→厄魔)

・その敵とのコミュニケーションは取れない

・敵に人々の生活が脅かされており、一部の特殊能力を持つ者がその敵を倒す

・史実にはない架空の場所(スト魔女→扶桑やロマーニャ、戦ブラ→神牙)

・特殊設定・けもみみ(スト魔女→ウィッチ、戦ブラ→月牙族)

 という感じで似通った点がけっこう多い。スト魔女はざっくりいうと、史実では第二次世界大戦で活躍した各国のエースパイロットを元ネタに、国を越えてドリームチームを結成し、異形の敵と戦ったらどうなるのか?あとパンツとけもみみ、みたいなアニメだ。私はめちゃくちゃスト魔女のファンなのでこの機会に宣伝します。みなさん見てください。


「第501統合戦闘航空団 ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN」PV第1弾

 スト魔女と戦ブラで致命的に違うのは、スト魔女世界におけるウィッチは人類を脅かすネウロイに対抗するために統合戦闘航空団を結成し、国境を越えてネウロイと戦っているのだが、戦ブラ世界における武将たちは厄魔に街を焼かれたりしてるのに各々が天下統一を目指して月牙族同士でなんかモメている。どう考えても、天下統一とか別にいいので月牙族のみなさんですみやかに連合軍を結成して厄魔を倒してほしい。 上杉軍のシーンで景勝が「ヒロインのために軍を動かすのは違うので一刻も早く厄魔を倒すべきです」的な主張をしているが、本当にその通りで、ヒロインをめぐってなんかモメている場合ではない。厄魔やばいだろ。普通に。人々の生活脅かされてるし。

 

 愉快な夏でしたね。(以上)

キミは平成最後のトンチキ舞台「戦刻ナイトブラッド」を観たか

 天王洲銀河劇場で8月16日から上演されている舞台「戦刻ナイトブラッド」がいかにトンチキなのかを全人類に伝えなければいけないという妄想に囚われはじめてから早3日になる。とにかくこれはヤバい、これを放っておくわけにはいかないという気持ちに駆り立てられて仕方がない。分裂気味の人並みの使命感に囚われているのである。というわけでブログエディタを開いた。みんなに読んでほしい。本当ですよ。

 「戦刻ナイトブラッド」はアプリ原作なんだかアニメ原作なんだかよく覚えていないけれどとにかく乙女系コンテンツ原作物の、戦国武将をイケメン化してヒロインとキャッキャウフフ戯れさせるという一見するとありがちな、しかも長く若手俳優のオタクをしていれば既に5回くらいは観たことがあるであろう戦国ネタである。そのため私は全く鑑賞前に期待をしていなかったのだけれどこの期待していなさが結果として功を奏すことになった。 何だかよくわからないけどとにかく死ぬほど面白いのだ。

 戦ブラの何が恐ろしいかというと、死ぬほど面白いのにその笑いは全部制作側の想定していない笑いという点にすべてが要約される。何か、真面目にやっているはずなのになぜか全てシュールに見えてきてしまうのである。これは決してディスっているわけではなく、どうしてだか生まれてしまった演出と俳優陣の圧倒的な実力のギャップが不作為・偶然の「コントっぽさ」を生み出し、真剣に観ている原作のオタクと必死に笑いをこらえている俳優のオタク、という謎の構図が生まれてしまう。

 例えば何の説明もなしに最初いきなり殺陣が始まる不可解さと演者の出している全力のギャップとか、(これは比較的笑っていいシーンだが)長秀と勝家がイマリ(謎のたぬき)と追いかけっこをしているシーンでイマリを動かしている黒子がどうみても丸見えになっているのとか、織田軍のやり取りのコント度合いとか、そもそも織田軍が「出陣だ!」と言って突然歌い始めるのが「戦姫絶唱シンフォギア」並みに急に歌うやつでジワジワくることとか、その上で織田信長のキャラソン「クロソマレ」の一番大事な部分の振り付けがどーみても変だったりとか、2.5次元の天下人・荒牧慶彦さんの演じている上杉景勝うっかりヒロインのいる方に転んでうっかり太ももに唇が当たってしまいうっかり吸血してしまう古典的ラッキースケベシーンとか(舞台刀剣乱舞の1本後の作品が開幕ラッキースケベで良いのだろうかという気持ちがある)、上杉謙信前山剛久さん)のソロ曲のバックダンサーをなぜかひとりで務めて太極拳みたいな踊りを5分近く披露する直江兼続(陣内将さん)とか、そのような何もかも全てが面白すぎて笑いをこらえるのに2時間必死なのだ。

 極めつけにはラストの重要な戦闘シーンで巨大な敵と戦っている最中、巨大な敵そのものは映像なのに、立体化した敵の「手」の部分だけが舞台に登場し、殺陣上手いキャストたちが特撮ヒーローショーの敵か小劇場の小道具みたいな謎の手と真剣に戦っているのである。謎の手が突然舞台の両脇から登場し、あたかもそれが当たり前であるかのように武将たちがマジで戦うのだ。 これは、ヤバい。大変なことだ。私は初見でこの「謎の手」に耐えられず普通に大爆笑してしまった。隣の原作ファンは真剣に食い入るように殺陣を見ていて申し訳なかった。しかも「手」の部分は造形されているのに腕にあたる部分はだった。何だソレ……と思った。布じゃん……と思った。しかも黒子がめちゃくちゃ丸見えになっていてもう意味がわからなかった。「謎の手」のシーンは毎回笑ってしまうので戦闘の内容をよく覚えていない。

 このように「戦刻ナイトブラッド」は笑いの波状攻撃で構成されているハチャメチャな舞台であり、しかし作り手側は決して笑いを想定して作っているわけではないので笑いを我慢しなければいけない。そのため、非常に苦しい。 私だけが死ぬほど笑いをこらえているのかと思ったが、友人もフォロワーもみんな笑いをこらえまくっているらしい。いっそのこと、いっせーのせでみんなで笑っちゃったほうが楽になれるんじゃないかとか思ってしまう。 大晦日に毎年放送されている「笑ってはいけない〇〇」という番組がある。本当に笑ってはいけない状況の時に限って人は笑ってしまうということがアレを見るとよくわかるのだけれど、まさにそれと同じで、劇場という密閉空間で、笑えば声が響き渡ってしまうという緊張感がますます笑いをかき立てるのだ。

 作り手側の想定とは多分結構違う形ではあるけれど、私は「戦刻ナイトブラッド」のことが大好きになった。もし棺桶にひとつだけトンチキ舞台のDVDを入れてもらえるなら、私は「戦刻ナイトブラッド」のDVDを入れてほしい。そしてあの世でゲラゲラ笑いたい。「謎の手」のシーンを見て爆笑したい。 とりあえず私は現世での「戦刻ナイトブラッド」を最大限に楽しんで笑いをこらえまくって腹筋を鍛えたい。26日まで天王洲銀河劇場で上演されており、なんと、チケットが余りまくっている。多分、平成最後のトンチキ舞台なので平成の思い出に是非7800円くらい払って観てほしい。きっと素敵な思い出になるから。そして誰かに「謎の手」の話をしたくなるから。帰りの電車で思い出してフフッてなるはずだから……。

 

 (8/22までにローソンチケットで当日引換券を購入すると私の推しとハイタッチができます。遊びに来てね♩)

stage.senbura.jp