卒論のためにジャニオタの友人にインタビューされてきた。<後編>
<前編はこちら>
めぐみ:さっきなんでホストに行かないか聞いたんですけど、顔が悪いからそこではなく?
めりい:私もなんでなのかはわかんないです。それに対して答えるならば……ホストに横浜流星がいないから。
めぐみ:好きになった人が俳優だったっていう。
めりい:たまたま好きになったのが俳優だったんです。貢献したいから売り上げも作るし。横浜くんがホストだったら今頃私はせこせこ通ってると思いますよ。
めぐみ:今ちょっと謎が解けたような気がします。なんでみんなホストに行かないのか。
めりい:そりゃホストに自担がいないからじゃないですか。あの顔じゃなきゃダメだし、あの対応じゃなきゃダメだし、だってかっこいいからホストになったら絶対人気出ちゃうじゃないですか! そしたらなんか……やだ。ホストはやだ、ホストにはなって欲しくない……。(真剣に悩み始める)
めぐみ:あははは(笑)。1回ホストに行って、横浜くんを超えるレベルの衝撃があればホスト行っちゃうかもみたいな。
めりい:かもしれないですけど……でもいま2年半追ってて、めぐさんと知り合ったのってもう1年半前くらいですよね? めぐさんはだいぶ私の外道への進化過程を見てると思うんですけど、その間にある思い入れが強すぎて簡単に離れられるかどうかっていうか。情が移っちゃってるというかなんていうか……。
めぐみ:前インタビューした人は「降りたい気持ちはあるけどまた1から関係を作り直すのがだるい」って言ってました。
めりい:そうなんですよ〜。横浜くんとの関係性って一朝一夕で出来たもんじゃないっていうか。向こうにとって私はただの粘着オタクかもしれないけど、私からしたらずーっと好きな人だし。なんていうか……ここ一週間くらいずっと仕事と家の往復で横浜くんの話を他人にしてなかったのでちょっとエモが入って来てる(笑)。だって好きだし!みたいな。 なんかそれだけにXちゃんがさっくり(オタクを)辞められてるのがすごいなーって。
めぐみ:あれすごいなーって私も思いますそれは。なんだろう、例えば仕事が途切れたら落ち着こうとかは。
めりい:仕事が途切れたら……やりたいことはあるんですけど、途切れないんですよ。なんかをずーっとやってて、来年もすでに映画2本公開決まってて、舞台1本決まってて、あれ?みたいな。休めない。
めぐみ:私もXちゃんじゃないですけど……完全に自担と接触できない状況*1に置かれると担降りできるのかなって。福岡にいてもオタクできるのかもしれないけど、同じ水準でできるのかって言われたら……。
めりい:一回上を味わってしまったら、って話ですよね。
めぐみ:あとその……どういう動き方ができるのかっていう、自分よりいい思いをしているオタクがいるのがわかっている状態でファンを続けるっていうのが辛い。
めりい:私は逆に、横浜厨をまだやってる横浜厨ってすごいなって思ってて。私がいてもオタク続けるってだいぶ好きなんだなっていう(笑)。
めぐみ:確かにそうっすね。
めりい:言っちゃえば……まあ少ない現場なんで、私ら町厨なのってみんなにバレてるんですよ。めりいさんは出待ちしてるよね、みたいな。でも同厨の子は誰も一緒に待とうって言ってこないし。舞台の東京公演のときにずっとギャラリーしてた子がいて、ギャラリーっていうのは出待ちはしない、凸らないんだけどずっと見てるみたいな。それに対して公演最終日に「町厨になりたいの?ギャラリーになりたいの?はっきりして!」って言ったら「えっ……あのなんか誰がいるのか気になっただけなんですいませんでした……」みたいに言われて(笑)。そしたらTwitterも垢移行しますって逃げられちゃって。この前その子にカレンダーイベントで久々に会ったんですよ。で、隣にいたから「ねえ、おはよう。」って言ったら「おっおはようございます……」みたいな(笑)。
めぐみ:何歳ですか?
めりい:その子私とタメですよ?その後横浜くんの現場で全然見なくなったし。
めぐみ:かわいそうだ…。
めりい:かわいそうですよ。私のせいで。私が「ギャラリーなのか待つのかはっきりして!?」って言ったからかわいそうなんですよそれは。
めぐみ:そこはジャニーズと俳優の違いっすね。
めりい:だから「誰々がいるからあの俳優には降りたくない」とかいっぱいあります(笑)。
めぐみ:追っかけるの……本当尊敬してます。話は全然違うんですが、どこからがオタクだって思いますか?
めりい:え。辞めたいのに、辞められなくなったら。
めぐみ:結構ハードル高いですね。
めりい:え、辞めたいでしょ?
めぐみ:はい。
めりい:辞めれないじゃん。
めぐみ:はい。
めりい:オタクだよ。
めぐみ:あははははは(笑)。
めりい:だから、中毒症状が出てきたらですよ。
めぐみ:ジャニオタって自称してる人だらけじゃないですか。
めりい:あれはジャニオタじゃない。俳優オタクにもあります、俳優オタクじゃない、あいつらは(笑)。やつらはまだ闇の世界を知らない(笑)。だから最近、横浜くんがオールスター大感謝祭に出て、スポーツ男子頂上決戦出て、今年の夏27時間TVのスカッとジャパンにも出たりして横浜くんがじわじわ知名度上げてて、GReeeeNの映画も出るし、めざましテレビで特集組まれたりして、なんか新規がチラホラ増えてきたんですよ。増えてきたんですけど、「お前らは今までの闇を何も知らないんだ!」って、謎のあれがあって。
めぐみ:めりいさんみたいな人が出てきたらどうされるんですか?
めりい:それはもう譲位ですよ。譲位。もう生前退位。だって私がやらなくても誰かがやってくれるんだったらもういいよ。
めぐみ:戦いはしない、みたいな。
めりい:だって勢いに勝てるものなんてないじゃないですか。今の私なんて惰性で走ってるから、勢いでガーーッて来られたら多分吹っ飛ばされると思う。実際なんかその、イベントとかでももう大きいイベント、例えば今年のSeventeen夏の学園祭とかになってくるともう「最前入ろう!」とかそういう気力なくて。昔なら何万払ってでも前入ってたのに。「今回接触同じ日にあるしいいっしょ」みたいな。そういう小さな弛みがあるんで……その弛み、新規の人の勢いには勝てないと思う。勢いがないから。
めぐみ:生前退位……退位。
めりい:生前退位ですよ。年号変わりますよ。
めぐみ:あはははは(笑)。
めりい:お気持ちを表明したいよ、もう。
めぐみ:いや〜でも、Xちゃんが降りたのはタイミングが良かった気がします。劇場公演しなくなってから降りたんで。なんとなくわかるけど。
めりい:でも、私もなんか本格的に会えなくなったらもうヤバイかな、と思ってるんですけど。地味に会えてるんですよ!「刑事ダンス」、ドラマの撮影やってたとき私すごい「会えない、会えない」って発狂してたじゃないですか。でも友達、ニンニンジャーの青の子追ってる友達もなんか今、フジテレビの刑事系のドラマに出てて。松本岳くんが出てるんですけど、「会えない!◯◯のロケしか掴めない!」みたいに。いやロケ掴んどる時点で会えとるやろ(笑)みたいな。「エキストラでしか会えない!」みたいな。いや会えとるやろ(笑)みたいな話をお互いにしてたら、普通の茶の間って映像期間は全く会えないから、うちらはレアなんだよっていう。会えるありがたみを噛み締めよう、みたいな。
めぐみ:私は非公開すらないので、噛み締めたいですね、会えるありがたみ。
めりい:うちも今はこの前まで奈良で映画撮ってて。刑事ダンスはなんかエキストラ行ってたんですけど、スタッフに顔バレしてて「場所掴んでても行けない!」みたいな(笑)。稽古場のシーンとか、あと天王洲とか結構同じところばっかり使ってたんですけど。私がいたらスタッフに全力でまかれるので行かなかったんですけどね(笑)。でも刑事ダンス期間中2〜3回会えてるんでまあいいかなと。週1〜2くらいで会ったので。
めぐみ:え、それってエキストラどっから……。
めりい:最初は口コミ。刑事ダンスの情報解禁された日に「もしかしてこれ?」みたいな風に他の俳優の厨の子が教えてくれて。なんか○○って会社と……あ、カインとアベルのボランティアめっちゃ来ますよ。その気になれば山田くんに会える。会いたくないけど(笑)。
めぐみ:そういえばうちの担当はそういう仕事がないので。
めりい:あとはジャニ関連だと「君に捧げるエンブレム」っていう櫻井くんが出るドラマの募集が……こういう感じで出てて(サイトを見せてもらう)。
めぐみ:その気になれば会えるんですね。
めりい:でもエキストラ、だるいですよ。待ち時間長いし朝早いし。よっぽど町厨やってたほうがコスパは良いんですけど。でもま、会いたいから行くし……それこそ菅田将暉レベルで会えない……とかじゃないから。どこまで行っても結局会えるじゃないですか。刑事ダンスの現場にマネージャーついてなかったんですよ、横浜くん。自分で来て自分で帰っていくスタイルで、一応バン集はあるんですけど、でも現場に勝手に来るスタイルで。「一人かよ!」みたいな(笑)。あの変なアイドル衣装あるじゃないですか。「Chau#」のパクりの。
あれってポッケがついてなくて。だから横浜くんに「今日マネージャーさんいんの?」って聞いたら「いや、いない」って言われて。「手紙渡せないじゃん」って言ったら「そうだ。ごめん」って……。「カレンダーイベントでまとめて渡す!」って言ったら「ごめんごめん」って。
めぐみ:それだけ濃密な接触ができる現場ならお金を出す価値あるし、私とか……2時間半のうちコンマ何秒対応してもらうために十何万も払ってる。
めりい:そうそうそう。そういうジャニオタとか、例えばホス狂とかって担当を卓に呼ぶためだけに何十万もするシャンパンを開けるわけじゃないですか。そういうのを見てると私はまだまだ恵まれてるなあって。恵まれてるじゃないですか、だって。55万出したら推しと15分間握手したまんまで1年間の振り返りができる。Xちゃんだったら多分200万くらい払ってると思います(笑)。
なんか……横浜くんが私に慣れてきてくれてるのが普通に嬉しいんですよ。雑なのが嬉しい(笑)15分喋ったあたりで「すいません後1分なんで」って書店の人に言われて。横浜くんに「とりあえず今までのまとめと来年の目標をよろしく!」って言ったら「えー待って、俺ほんとそういうの苦手なんだよね」って言い始めて。知ってるけども!みたいな。そういうやりとりがしたいんですよ私は。なんかこういうやりとりをするために私はこの星に生まれてきたんだ!みたいな。好き!みたいな。……1週間経ったのか……。
めぐみ:Twitterでレポって好んで見たりしますか?私とかXちゃんとかって自分が見てる現場が全てだからあんまレポ見たくないとこがあって。
めりい:私は最近自分が行ってない現場がないので。レポを見る必要性がない。
めぐみ:毎日舞台やってると全ステしないと観れないじゃないですか。
めりい:私はちょいちょい舞台の公演サボってて、闇狩人も実は全通してなくて、1公演サボったんですよ。
めぐみ:たった1公演。
めりい:たった1公演。サボって銀河劇場のカフェで寝てたんですけど。入り没っちゃってその日。萎えて、観ても楽しくないからサボろう!みたいな感じで。でも没った理由が、帰りに本人に聞いてみたら「親が観に来てたから車で入っちゃった」っていう(笑)なんか許した。それもう許さざるを得ないじゃないですか(笑)。
めぐみ:かわいいですね。なんか、結構アイドル推しててつらいじゃないですか。
めりい:いや、しんどいですよ(即答)。
めぐみ:しんどいじゃないですか。それをゼミの中で発表してたら「楽しんで病んでるんじゃないの?」みたいな、一般人からしたら。そう思われてるらしくって。
めりい:あーなるほど。
めぐみ:病むことを目的にしてるんじゃないの?って。「病んでる俺かっこいい」みたいな。そういう奴らもいるかも知れないけど、実際つらいし。
めりい:それはねー、やっぱ一般人の幻想だと思う。横浜厨って地味にいるんですよそういうの。いるっていうか、「流星くんカッコいい!キラキラ!」みたいな層が。でも現実は違うぞ。みたいな。中学生が地方で「はあ……カッコいい……」ってしてる間にあたしはスタジオで待ってるかもしれないし。幻滅させちゃうかもな。
めぐみ:知らないだけ幸せだよなって思います。
めりい:そうそうそう。めぐさん、結構自担観てるじゃないですか。「またか!」ってなってきません?
めぐみ:なりますね。
めりい:「またかー」みたいな。好き好んで行ってるけど、実際行くと「あー自担か」みたいな(笑)。
めぐみ:あはははは。わかります(笑)。
めぐみ:「あー今日も横浜かー」みたいな。
めぐみ:「あ、生きてるー」みたいな。
めりい:「元気じゃん」みたいな。なんか昔はそれこそ……(キラキラした目で見つめる)だったんですが、最近冷めてきてこんなん(適当な態度)ですよ。ふてぶてしい(笑)。
めぐみ:昔は表情作ってまで見てました。
めりい:「そうでございますかー」みたいな。「その話ね、聞くの何回目だと思う?」みたいなところが(笑)。極真空手でジュニア世界大会で優勝した話はもう私100回聞いたからいいよ、みたいな。「僕実は空手が得意で……」って言われると「知ってる〜!」って言いたくなる。合いの手入れたくなるもん。「知ってたぁ!」って。
めぐみ:全然関係ないですけど、おばさんって長続きしません?
めりい:5年前にやってた戦隊メンバーをまだ追ってる町厨のおばさんの人が知り合いにいて、でもその人は全然「またかぁ!」ってならないらしいんですよ。舞台観てても。終わった後にお会いしても「あ〜もう本当に今日も○○くんが良かったもう〜」みたいな感じで。あ、ならないんだまたか、って。
めぐみ:なんでですかね〜。
めりい:不思議。おばさんと「またか」の謎について。おばさんってすごい根強いし。今流星厨でわたしの次あたりに積んでる方も年齢で言ったらうちのお母さんのちょい下くらい。わかんないですけど、下手したらぎりアラフィフじゃないくらいですよ、めりちゃんは娘みたいって言われますし。
めぐみ:あ、そうだそうだ、今丁度Twitter開いているのでTwitterのことについて聞きたいんですけど。どういう使い方してますか?普通のオタクが話すような話はいらないです(笑)。
めりい:あーーーーー。私、基本舞台の稽古が始まったら共演者全員フォローして全員通知つけて。
めぐみ:制作とかもですか?
めりい:そうですそうです。脚本とかの人も、下っ端のスタッフとか大道具の人とかもツイッターやってたらバーって通知つけて、で、稽古場移動とか主要な出演者は漏らさなくてもアンサンブルとかがポロっと言ったりするんですよね。「明日から変わる、気合を入れていこう!」みたいなことをポロっと言ったりするから、「お!サンキュー佐藤!」みたいな(笑)。
めぐみ:なんか横浜くんってヘタに女の子と付き合うの難しそうですよね。
めりい:あははは(笑)。リアストがいるから……。大変そう。やましいことはできないですよね。でも一番最新の目撃情報が春日部のドン・キホーテなんですよ(笑)。
めぐみ:遭遇の話も検索かけたりするんですか?
めりい:私はアプリ使ってて……こういうエゴサーチに向いてるアプリが(画面を見せる)。
めぐみ:……SNSを使いこなしているなって思いました。
めりい:新しい仕事も、「○○が○○と一緒にいた!」とか「撮影してた!」とかで掴めるパターンが多い。
めぐみ:ジャニオタってそれ言わない人もいるんですよね。
めりい:ジャニオタって気を遣って次の日に目撃情報流したりしますよね。「いらんわ!」って。
めぐみ:没ったときってどのくらいですか?あんまり没ってるイメージありません。
めりい:いや、没りまくりですよ。ドラマも結構没ったしスタジオ掴めなくて結構彷徨ったし……1回「会えた!」って騒いでる裏には5ぐらいのボツがあったと考えてくださっても差し支えないと思う。(笑)
めぐみ:え、なんか俳優ってバンじゃないじゃないですか。でもわかるんですか?稽古してるとかしてないとか。中にいるとか。
めりい:……それは、共演者で車通勤の人がいたりとか、制作が車で来てる場合とかがあってそれで判断したりとか、単純にすごいアナログですけど電気ついてるかどうかとか……。がわかんない場合は勘に頼るしかない。それか……一部のスタジオには土足禁止のスタジオがあるんですよ。で、意外と下駄箱あたりまでは一般人でも中に入れたりするんですよね。(建造物侵入です)その時にやるのが靴箱を見る。靴箱に若手俳優っぽい靴があったら「まだやってるな」って。めぐみさんの自担、舞台決まったら稽古場行きましょう(笑)。
めぐみ:彼演技ヘタなんでないと思います。俳優に降りたら沼だと思います……。
めりい:個人的に言わせてもらうと、認知が始まりなんで。認知が最高のステータスとかなに寝ぼけたこと言ってんだ!?って感じです。
めぐみ:ジャニオタは認知が珍しいから。Jr.になると認知は簡単かもしれませんが……。
めりい:俳優になると認知されてからが勝負です。勝負してるわけじゃないですけど……。
めぐみ:じゃあ時間なので……今日はたくさんお話を聞かせていただいてありがとうございました。
めりい:いえいえ、こちらこそ聞いていただいてありがとうございます。
あとがき
文字に起こしてもらったものを整理したところ、いろいろな人に怒られそうな内容も一部あったが、これもオタクカルチャーの一部ということで残しておきたいと思う。丁寧にお話を聞いて下さっためぐみさん、ありがとうございました!
*1:トンデモガッツ・Xちゃんは就職で福岡に戻り、ヲタ卒を果たした
卒論のためにジャニオタの友人にインタビューされてきた。<前編>
まえがき
先日公開したこちらの記事が好評で、私としてはすごく嬉しいです。読んでいただいた方、ありがとうございます。未読の方も是非読んでみてください。
さてそもそもこの対談の背景には「それ以前に行われていた私への個人インタビュー」があったのですが、その原稿を友人のめぐみ氏よりいただくことができたので、こちらにて編集し公開させて頂こうと思います。
対談は11月上旬に行われ、ちょうどその1週間ほど前に行われた横浜流星くんのカレンダーイベントにて私の働いた暴挙から話は始まっています。
登場人物
めぐみ:凡庸なジャニオタ。卒論のテーマを「暴走するアイドルファン」に設定し、暴走している人たちに話を聞きまくっている。
めりい:アイドルファンではないが俳優ファン。横浜流星くんのことを2年半応援している。
まとめ出しという都市伝説
めぐみ:15分も一体何を話すんですか?*1(めりいさんは普段から)出待ちとかで喋ってるわけじゃないですか。
めりい:そうなんですよ。話すことないんですよ、実際。
めぐみ:自担と15分話す時間を与えられたところで……15分も何話したらいいのか。
めりい:話すことなくなるだろうなっていうのは考えてて、だから『去年からの1年間を振り返ってみようコーナー!いぇ〜い!』って(笑)。ノリが完全に有害のそれですけど。まあでも、普通に、去年の握手会から今年の握手会までの1年の仕事を振り返って「あのときはああだったね…」とか、「あのときはゴメンね…」とか。
高畑裕太が逮捕された日ってそういえば私、大変だったんですよね。逮捕報道がイベントの真っ最中で、高畑裕太と共演してるから映画はどうなるかわからないし、もう客席でパニック起こして、そしたら案の定横浜くんの顔も途中から死んでて(笑)。それを「あの日もさー、なんか色々あったじゃん?」みたいに言ったら「まあまあ、まあねー……(笑)」とか言ってたんで。彼の中でもそういう風に落ち着けたんだーってちょっと安心はしました。
めぐみ:楽しそうでよかったです。なんかアレですよね。「めりいさんのこと好きですか?」っていうのは。
めりい:あー、あれは身内が悪い。あれはなんか身内が勝手に、勝手にっていうか、イベントを渋谷のTSUTAYAでやってて。ど真ん中じゃないですか渋谷のTSUTAYAって。で、友達がたまたまそのときに渋谷でお茶してて、その友達が来てくれることになったんですね。それで握手券を渡してあげて友達と横浜くんが握手してるところを後ろから見てたら、喋ってるとき私のことしか見てないんですよ。
めぐみ:あはは(笑)。
めりい:友達曰く「めりいさんの友達です」って言った瞬間私のことを見るらしいんで、もし目の前のオタクが普通の自分のファンだったらどうするんだよ!!それお金払ってんだぞ!!ちゃんと目の前のオタクを見ろ!!って(笑)。
で、身内が質問したのが「めりいさんのこと好きですか?」って。いや好きですかもなにも一回振られてる*2んだけど。
めぐみ:あっはっは。
めりい:そしたらその質問に「好きです」って言うから……じゃあ付き合ってよ!って(笑)。
めぐみ:1ヶ月くらい…ですよね。
めりい:ちょっとでいいから付き合って!っていうアレが。まあまあまあ…。そういう「好き」とこういう「好き」は違うから、*3こういう「好き」であってくれるだけでも私は嬉しいなって。カレイべを通して、私の運命は横浜くんの方にしか向いてないんだなってところまで思い始めて。
めぐみ:いつまで続けるんですか?命が尽きるまでですか?
めりい:わかんないっすよ!(笑)でも、最初の1巡目で「今回何冊買ったでしょう?」って聞いたら「え、わかんない」って言われて、それに「200!」って言ったら「え、マジで!?」ってガチでビビられて。「でもさ、売り上げ作りたいじゃん〜」って言ったら「俺も気になる。何冊売れたか聞いてない」って言ってくれて。売り上げ要員なのかなあー自分はって思い始めてきて。
めぐみ:なんかホストみたいな。
めりい:エースですよエース。私エースって名乗っていいですか?横浜のエースって。
めぐみ:全然いいと思いますよ(笑)。なんでみんなホストの方に行かないのかなって。
めりい:ホストは際限ないんで。だって、ねえ?無理ですよもう。私もう風は無理なので。メンタル的にダメなんですよもう。キャバって喋ってるだけで最低限の賃金貰えるんで。今月後半もちょいちょい出勤して…いくらぐらいだろ?…後半が多分15万くらい。月30くらいですかね?でもやる気ないし。
めぐみ:いいっすねでも。めっちゃ働いてますね。
めりい:でも掛けが返せないので。(笑)VISAとMasterへの売り掛けが。一部分割にしましたもん。21万円分くらいをとりあえず3分割にして7万で、月々で支払いあるから月に……14〜5万くらいをこの先3ヶ月くらい払い続けるんで。
めぐみ:強い。
めりい:でもまあ、まあ、まあ、出勤すれば返せるんで。
めぐみ:強い。
めりい:だって流星くんが優しいんだもん(笑)。でも仕事が忙しすぎて最近全然追えてないんすよ。
めぐみ:仕事忙しいんすか?
めりい:忙しいっていうか……寝て起きて、キャバに出勤して、家に帰って、大槻ケンジのエッセイとか読んでニヤニヤしてたら寝て、起きて、起きたらもう夜で、病院も行けてないし脱毛も行けてないし歯医者さんも行ってない。横浜くんのせいで散々ですよ。*4
めぐみ:縛られますね、時間。
めりい:卒論インタビューなのにこんな適当に話していいんですか?
めぐみ:大丈夫っすよ。文字起こしの時になんとかするんで。
めりい:「ジャンル:頭がイカれてるやつ」みたいな感じで取り上げてくれれば(笑)。私はメンタル的にいろいろあって、ファンやめたいとまで思い詰めたけどそれでも本人に理解をなんとか得てまだリアコっていうのがあって。その状況でこうした接触イベントっていうのはすごいなんか……、もわんとしたなんか、「どうしよう」っていうのがあって。エキストラとかでちょいちょい会ってはいたんですけど、向こうがドラマで忙しくてその間に私が突っ込んでいく感じだったので、そんなに私の存在は強くないんですよ。だから久々にちゃんと喋ったんだけど。う〜ん……でもやっぱ喋ってみるとしょうもない話しかしてないんすよね。俳優としょうもない話をすることが生き甲斐っていうか。
めぐみ:うんうん。カレンダーを200冊買うにあたって、その200って決めた理由っていうのは?
めりい:単純に自分の持てる最大限のパワーがそれだったのと、去年100だったので今年は200にしようかなっていうそれぐらいの気持ちです。
めぐみ:別に同厨にマウンティングとかって……。
めりい:あ、マウンティングありますよ。マウンティングしかないですよ。
めぐみ:ありますよね。
めりい:ゴリラだよ、ゴリラ。あははは(笑)。
めぐみ:あはははは(笑)。
めりい:完全にゴリラだよ。
めぐみ:そう答えてくれる人で良かった……。こういうこと普段は相手に聞いていいのかって思っちゃうから。
めりい:マウンティングがないわけないですよ。
めぐみ:独占欲とかそういう感じですか?
めりい:独占欲ありまくりですよ。だってリアコだから。あはは(笑)。
めぐみ:あはは(笑)。同厨の方で次点の方って何冊くらいなんですか?
めりい:50冊行かないくらいだと思う……。その人鍵開けからいて、ずっと一緒にいて、最後私が148冊残してるときに脱落してたんでその人は多分50冊弱くらい?でも50冊買っても鍵閉められないっていうのもなかなか悲しい現場ですけどね。
めぐみ:14万は使ってるってことですよね。
めりい:14万使っても鍵閉められない。
めぐみ:やばい。
めりい:横浜は闇が深い。
めぐみ:やばい。
めりい:その方は私とはちょっと違って、主婦っていうか……お子さんがいらっしゃって、息子さんが見てたトッキュウジャーきっかけでファンになって、で、来られるときだけ現場に来てるみたいな方。普段はドラッグストアで仕事してるっていうすごい普通な人です。
めぐみ:それでも15万稼げるんですね。
めりい:その方は地方で滋賀なんで。来られる機会が少ない分、たぶん来られたときにばーって(お金を使う)。
めぐみ:恐ろしい。
めりい:その次くらいの人も、多分30冊くらいは買ってたんで・・・まあ10万使っても鍵は閉めれない。
めぐみ:恐ろしい現場だ。
めりい:恐ろしいっすね、横浜の現場は。なんかもう私という存在が色々邪魔してる気がするんですよ。私モンスターなんですよ。モンスターじゃないですか!?
めぐみ:わかります。私卒論のテーマで暴走するファンについて調べているので、ピッタリです。
めりい:ファンは暴徒になっていく。私なんか暴徒ですよ完全に。エキストラの現場に押しかけるし、あとなんだろ。カレンダー、タレコミ*5で「大量に買いすぎ」って叩かれて。
めぐみ:タレコミで!?アハハハハ。
めりい:こういうこと許すからめりいが調子に乗る、みたいな叩かれ方をされて。横浜本人も対応しないで!みたいな。まあそういう叩かれ方ってそれはそれで気分がいいんで。悪いものじゃない(笑)。
めぐみ:ファンを続けていく中で、楽しいと辛いがあると思うんですけど、その割合を聞いてもいいですか?
めりい:楽しい1:9つらい(即答)。
めぐみ:マジすか!?
めりい:あはははは(笑)。え、予想通りですか?
めぐみ:色んなオタクに聞いてるんですけど……。最初は普通に楽しんでファンをやってる人が多いんですけど、だんだん辛いの割合が高くなってきますね。
めりい:本当、1の麻薬のために頑張って働いてるようなものですよ。1の楽しいのためにずっと働き蟻のように毎日毎日出勤して。「すみません!お隣失礼しまぁ〜す♪」とか言って。全然楽しくもないし、酔っ払いみんな死ねとか思ってて。でもまあ……それでもその1の楽しいがマジありえんくらいくるんですよ。
めぐみ:わかります。
めりい:瞬間の快楽がどーーーって来るんですよ。だから「ドラッグじゃ足りない真面目な魔法さ」*6。なんで、そんな感じっすね。
めぐみ:私も現場に対して働く気力がなくて。次の現場がドーム公演なんですよ。近くないじゃないですか。
めりい:ドームやるんですか?いつの間にそんな。
めぐみ:キャパシティが広がると自担に接近する確率が少なくなるわけですけど、私、自担以外興味ないんですよね。
めりい:Xちゃんが目の前にAくんいるのに携帯いじってるっていうのと同じですね。その話が私の中でインパクト強すぎて。
めぐみ:距離が遠くなると……しかも2時間30分。
めりい:2時間30分の間で自担が目の前に来るのって分単位の話じゃないですか。
めぐみ:分どころか秒かもしれないじゃないですか。どこ入ったらいいかわかんないし。やだなーって。
好きになった人が俳優だった
めぐみ:横浜くんって舞台挨拶の相場はいくらくらいなんですか?
めりい:この前やってた「全員、片想い」っていう映画の舞台挨拶は……結構若手俳優が集まってたんですけど、トータル3〜4(万円)とかで4公演前の方入れました。自チケけっこう捌いたんで、トータル収支だと+2(万円)ですかね。
めぐみ:うちのとこ、当日まで席がわからない試写会で、市場に出回った額がハガキ1枚で2人入れるものが17万とかで。
めりい:えーもうジャニーズとの共演やだ〜。
めぐみ:相場に関しては自担のせいだと思いますよ。最終的にどんどんお金を持っているオタクが脱落していったおかげで最終的に直前に1人48000円まで落ち着いてはいたんですけど。1〜2週目までは1人8万が相場で。席もわかんないしっていう状態で8万はきついなって思いました。コスパ悪いなって。
めりい:だって舞台挨拶ってせいぜい15分とかでしょ?
めぐみ:しかも自担って対応しないんで。
めりい:横浜くんはファンサはしてくれるんで。それはありがたいっていうか。でもハシゴ系舞台挨拶の醍醐味って、舞台挨拶本編よりも追っかけにあると思うんですよ(笑)。私の時は、丸の内TOEIって東映の本社の下に映画館があるんですよ。で、東映の本社しか出入り口がないんですよ。有楽町のど真ん中にあるので裏口とかがなくて、大公開で大パニックなんで(笑)。
めぐみ:ところで、めりいさんって同担と連番することについて……どうですか?
めりい:わたしは連番できます!理由は、連番する推し被りが認知されてたり対応されてたりしたら単純に面白いし、認知が2人並んでる時点でウケるじゃないですか。もし連番相手が認知されてなかったら、レスされたときにマウンティングができる(笑)。
めぐみ:マウンティング(笑)。その視点の回答が得られて嬉しいです。絶対王者からの回答を得られてしまった……。
町厨とオリキとヤラカシ
めぐみ:「二宮降り」ってなんか厄介ですね。
めりい:二宮くんは害悪生産機だと思いますよ(笑)。あの捻くれたところとかが、どことなく。
めぐみ:めりいさんは嵐のときからそういうオタクだったんですか?
めりい:いや、全然。ただ多分、そう思われてたのは周りにすごいヤラカシが多かったからで。櫻井くんのヤラカシとか二宮くんのヤラカシとかいて。
めぐみ:へー。
めりい:でも私、今若手俳優の町厨*7じゃないですか。ジャニオタってオリキとヤラカシの区別がはっきりしてるんですけど、俳優ってオリキもヤラカシも一緒なんですよ。公開町厨と非公開町厨があったとしても、例えば普通に町厨って駅までついて行ったりエレベーターついて乗ってみたり、コンビニも一緒に入るし、コンビニ入って何買ったのか聞くし、それで同じの食べて自己満足満たすし(笑)。でもジャニオタってそれはヤラカシじゃないですか。その反面、町厨はオリキとしての側面も持ち合わせてて、ちゃんと待つし、みたいな。ジャニーズは1対1じゃないんですよね。ファン対ジャニーズ。ゴジラみたいなこと言うけど(笑)。ファン対ジャニーズ。ファンっていう塊じゃないですか。でも俳優厨の出待ちって個人と個人でやってかなきゃいけないから、千差万別っていうか、色んな町厨の話聞くの面白いですよ。
めぐみ:同厨に対してどう思うかっていうのをいろんな方に聞いてるので、もし過去にトラブルとかあれば。
めりい:トラブル起こしまくりですけど(笑)。
めぐみ:揉めたことがあったら……。
めりい:私、高2でトッキュウジャー追ってたんですよ。
めぐみ:早い。
めりい:その時、同厨に「あいつはデリヘルやってる」って言われて。でも高2だからデリヘルできないじゃないですか。「あいつデリヘルやっててしかもおっぱいでかいんだよね」っていうのを聞いたその同厨の友達が、あまりにもその同厨が私のことを悪く言うから「めりいさん本当にデリヘルやってるんですか」ってDMしてきて(笑)。話の流れをその子に聞いて、ちょっと待って、ってなって。話の詳細を聞いて、それからずっとブロックされて逃げ続けられたんですけど、半年後くらいに……
めぐみ:デリヘルどうこうってそれ横浜くんのファンに言われたんですか?
めりい:そうです。私にぶっ込んで*8きたのは普通に一般人の友達だったんですけど。それから半年後に、(笑)半年後まで引きずってて(笑)劇場の前のコンビニに呼び出して。「お前さ〜。なんなの!?あたしデリヘルじゃないし」ってキレて(笑)。私、当時町厨じゃなくて、その同厨は出待ちしてるのを身内に言ってたんですよ、トッキュウジャーのときに新幹線の現場で動いてるって。「なんで?新幹線動いてるの?それストーカーじゃん!」って。まさか自分が数ヶ月後にストーカーになるとは知らずに(笑)。
めぐみ:あははははは(笑)。
めりい:「そういうのストーカーって言うんだよ!?本人に許可とってるの!?」って聞いたら「許可とってない……」って。「対応してくれんの?」って聞いたら「別にそんなことないです……」みたいな返事だったんで「じゃあなんでやってんの!?もう死ねよ!」とか言ってたらその子が「もう横浜くんにもう興味ないんで、もう降りるんで、もういいです……」って(笑)だから「あっそう」って。その子は本当に降りて、今は男子バレーの追っかけやってるらしいですよ。
あと、横浜くんで揉めたわけじゃないんですけど、私のことかなり嫌いだった同厨がいて、その同厨が降りたあとに実況者グループの降り先でリアスト化したらしくて。降り先の人から私になぜか連絡が来て(笑)。「○○さんと仲悪かったんですよね?何か知らないんですか?」って言われて。知らないんですか?って言われたからには教えなきゃと(笑)。私その子の住所とか実家のこととか全部知ってたんですよ。
めぐみ:あははは(笑)。
めりい:そしたらそれがたぬき*9に晒されて(笑)。あら大変。っていう。その子の個人情報も全部晒されてて、「実況者のオタクも大変だなあ」って。実況者ですよ、実況者。私はちなみに何がいいのかわかんなかった、ググったけど(笑)
めぐみ:一般人ですよね。
<後編につづく>
ふちりんさん(@fuchirin)と、ガチ恋について対談をする<後編>
擬似恋愛と観察者化
めぐみ:これはそもそも今日の対談のきっかけになった、うちの教授が書いた論文なんですけど、「男性アイドルファンの擬似恋愛から観察者化」というテーマで。SMAPだったら例えばキムタクが一番アイドルとして人気があって、かっこよかったけれど嵐のファンは「二宮くんと相葉くんの関係性かわいい」って感じで擬似恋愛じゃなくなっているっていうテーマを書いているんですよね。(レジュメを出すめぐみさん)
めりい:それに反論しようとして、全力で擬似恋愛しようとしてる奴がこんなにもいるっていうのを示していきたいわけですよね。教授に。
めぐみ:それこそ、SMAPから嵐、疑似恋愛から観察者化っていうのは「やおい文化」から流れてきてるんじゃないかとこの論文の中で教授は推察しているんですけれど。
めりい:例えばその、握手会文化ってハロプロにはAKB48から輸入されてきたものじゃないですか。接触文化って最近まで女性アイドルにはなかったものだと思うんですよね。女性アイドルには接触文化が欠落してた。それこそ90年代までは。00年代からやっぱり「ガチ恋」「接触厨」という人種が登場し始めたんじゃないかと思うんです。
ふちりん:女性アイドルの場合は、むしろ観察者化から擬似恋愛に逆行していると思いますね。
めりい:女性アイドルの場合には主体化が進んでいるんだと私は思います。
めぐみ:私もこの論文を読んだときに、AKB商法とかで「会いにいける機会」がすごい増えてるし、SNSでもやりとりができるのになんで観察者化なんだろう?と思って。確かにジャニオタにはそういう人が増えたかもしれないけれど。
ふちりん:女性アイドルには逆に自分が参加していく形が増えていると思いますよね。
めりい:そうですよね。私が前にブログで「戦闘美少年の精神分析」という論文を書いたことがあるんですけれど、「戦闘美少女文化」ってあるじゃないですか。エヴァンゲリオンにしろ、たとえば――セカイ系っていうジャンルがあって、美少女が現れてダメな自分と一緒に世界を救う、自分と美少女の存在が世界の存亡を左右する、みたいな。でもその反面、戦闘美少年、たとえば戦隊ヒーローに代表されるような場合には「自分が介入する隙がない」から、自分自身を向こうに投影して憧れ、尊敬、感情移入がその本人に向いてしまうんですよね。戦闘美少女の場合、横にはきちんと主人公がいるのでそこに感情移入ができるんですけど、戦闘美少年の場合だと「世界を救ってくれる絶対的な存在」に没入しちゃうという現象が起こるんです。
めりい:「できなかったことをやってくれる推し」という存在に置き換えれば、これは若手俳優の追っかけにも同じことが言えると思うんですね。男性アイドルや若手俳優とは違って、女性アイドルの場合は接触文化によって「ファンとアイドル」=「1:1」というふれあいが確立されているじゃないですか。
ふちりん:そうですね。
めりい:でも例えばジャニオタって、オタクとファンの関係性は不安定なんですよね。「アイドル:大多数のかたまり(ファン)」でしかない。「ファンの皆さんのおかげで…」って言及することはあっても、AKB48のようにひとりひとりに対してありがとうって接しているわけじゃないですから。っていうことを多分以前にも自分のブログで言ったことがあるんですけど(笑)。
めぐみ:確かに、1:1になれる機会が少ないから。
めりい:投影、憧れをしてしまってそこで「ガチ恋」現象が対男性の場合には生じるのではないかと。女性アイドルの場合のガチ恋はやっぱり接触を経た上での「恋愛感情」じゃないですか。ふちりんさんの場合は最初のきっかけがコンサートだったから、梨華ちゃんに対する憧れとか、「自分のできなかったことを梨華ちゃんはできてすごいなあ」みたいなのとかはあったりするんですか?
ふちりん:そういうのは特にないですね。気づいたら本当にただ好きだったっていう。
めりい:なるほど。そういうのって女子特有のものなんですかね。
ふちりん:あと、僕の梨華ちゃんに対する気持ちの中には、色っぽい梨華ちゃんが好きという気持ちもあるので。
めりい:多分、そこはスイッチの違いなんですよね。私のスイッチって「エモーショナル」のスイッチなんですよ。エモいガチ恋をしてしまっている。整理すると面白いですね、この辺り。
めぐみ:いろいろなガチ恋がある。
めりい:わりとジャニオタのガチ恋なんかは「エモーショナルなガチ恋」が多いと思います。
ふちりん:性的な感情を持つ人はあまりいないと思いますね。
めりい:キラキラしたものに惹かれてしまう……だから電柱に集まる蛾と同じですけど(笑)。
めぐみ:例えが(笑)。
めりい:いや、私は蛾ですよ。間違いなく蛾です。
自分と推しとの関係性
めりい:論文から引用すると、『「俺たちつきあってるらしいよ」この告白のセリフこそが観察者化を代表するセリフである』って書いてありますけど、確かに外から見た自分と推しとの関係性って気になりますよね。
めぐみ:「俺たちつきあってるらしいよ」って傷つかない告白の方法なんですよね。断られたら「そうなんだ」で終われるし。リスクを減らすために言ってる言葉なんです。だからDDっていう文化も、ある意味ではリスクを減らしてるわけじゃないですか。
めりい:そういう点でガチ恋の人ってすごく強い存在だと思う、私は。
めぐみ:浮気とか不倫とか、自分の都合で好きな人を作ることによって家に帰って奥さんと嫌なことがあってももう一人の相手がいるから都合よく過ごせるっていう「観察者化」なんですよね。負担が軽くなってる、というか。
めりい:だからガチ恋って私はギャンブルだと思うんです。たとえばコインが100枚あったとして、DDの人は1から10のマスに10枚ずつコインを置いて、安全圏の中にいるわけですよ。でもガチ恋はひとつのマスに100枚のコインを置いて、ルーレット回して大損する(笑)。だから私はギャンブラーです。それは自覚あります、すごい。
ふちりん:その例え、上手いですね。
めりい:いやいや。ありがとうございます。
ふちりん:僕もそうかもしれない。
めりい:たとえば大宮アイドールとか、聖ジュリアーノ音楽院とかのマスにコインを1枚ぐらいずつ置いているけれど、って話ですよ(笑)。他にコインを賭けようとする努力をしなきゃいけない、っていうのがまずガチ恋の難点なんです。普通の人はがんばらなくても平等にコインを置けるけれど、ガチ恋はそこに努力を挟まないといけない。
めぐみ:私もいろんな人に話を聞いてきたんですけど、ジャニオタでジャニーズの現場がない間は俳優の現場に行っているって人がいて、その人に楽しいか?って聞くと秒で「楽しい!」って返ってくるんですよね。楽しくなきゃやってないって。
ふちりん:僕は今あんまり楽しくないです。
めぐみ:現場もなければ会いにもいけないですよね…。
めりい:だから麻薬と一緒ですね。やめたいけどやめられない。悪いことだとわかっていながらもやめられないので…。
ふちりん:イベントに行ったらつらい気持ちになるのをわかっているけれど、でも行っちゃうって感じですよね。
めりい:全然楽しみじゃない、現場も。来年の1月6日に推しの出るライブがあるんですけど、もう全然楽しみじゃないんですよ。
めぐみ:でも推しが出るから行く?
めりい:もうしょうがないから行くんですよ。行きたくないけど…。 そういえばこの論文に「男性の草食化現象」って書いてありますけど、ドルオタの人ってむしろ肉食の傾向が強くないですか?
ふちりん:肉食の人が多いイメージですね。
めぐみ:ドルオタって、メンバー同士の人が話してるのを見て楽しいって思うような層とライブで騒いで楽しいって思ってるような層のどっちが多いんですか?
ふちりん:どっちも被ってると思う。
めりい:だから、円がふたつ、こうあったら、こう……被ってる感じで。円が。
めぐみ:なるほどなるほど。
ふちりん:そういう人はまあ、健全なファンとしてやってますね。で、ガチ恋オタがこの辺(遠くを指差す)にいる。
めぐみ:あはは(笑)。
めりい:遠く離れた小島に、こう、隔離されて。江戸時代のオランダ人のように(笑)。でも確かに、この論文の中にも「ファンという言葉の中には狂信的な信奉者という意味合いもあり」って書いてありますけど、「ファン」という意味において正しくはありますよね。
めぐみ:ジャニオタってあんまり、「恋敵」みたいな感じだからファン同士で情報を共有したがらないんですよね。
めりい:本当に大事なことは推し被りには言いたくない。いろんなところで言ってる私と横浜くんの面白エピソードはまだ喋れるエピソード(笑)。
めぐみ:全然自担と関係ない人には話せるけど、自担が好きな人には話せない。自慢と取られるかもしれないし、そこでこじれるのも…。
ふちりん:最近ツイッターがあるから、ツイッターで変なこと書くとすぐ炎上するじゃないですか。だからみんな無難なことしか書かなくなってきてる感じはありますね。
めりい:だから男子と女子の違いで面白いなって思うのは、女子ってだいたい裏垢とかあるじゃないですか。
ふちりん:あるんだ。
めりい:やっぱりないんですか。
ふちりん:ない人が多いと思う。
めりい:女性声優のオタやってたときに、みんな無いって言うんですよ。ミルキィホームズとか好きだったんですけど、みんな無いって言うんですよね。愚痴とかあっても書いたりしないって。
めぐみ:愚痴とか本当に書きたいときはどうなるんですかね?
ふちりん:2ちゃんねるとかじゃないですかね。
めりい:そう、叩き合いがけっこうオープンなんですよね。だからそういうところを俳優オタもジャニオタも見習った方がいいと思う。
めぐみ:オタの中でマウンティングとかもあんまりないんですか?
ふちりん:まぁあんまりないかなー…。
めぐみ:握手券どれだけ買った、とかツイッターに書く人はいます?
ふちりん:でもみんな自己満足でやってる感じはあるので。
めりい:ハロプロ界隈だとそういう人は少ない印象がありますね。AKB界隈だと、あの、1000枚買いとかあるじゃないですか、こう、ばーって積んで。まとめ出しで握手会が止まるとか(笑)。聞くじゃないですか。それはやっぱりマウンティングですよね。
ふちりん:いや、そういう人でも謙虚な人が多いと思います。
めぐみ:それこそラブライバーとかカバンにつけてるグッズの数で競ったりとか。
めりい:でも女子に比べて男子は「純粋に楽しいからやってる」みたいな側面が大きいみたいですよ、実際に見てきた感じとしては。例えばふちりんさんが全身に梨華ちゃんの缶バッジをつけて現場に行っても、それは純粋に梨華ちゃんが好きだからやるわけじゃないですか。
ふちりん:はい。
めりい:梨華ちゃんの缶バッジの量を自慢したいっていうよりかは、愛を主張したいってなるじゃないですか。
ふちりん:そうなると思いますね。
めりい:女子は痛バッグの文化もそうだけど、ついてるグッズの価値とか量でマウンティングをしあうっていう。これだけ「推しにお金をかけてるのよ」っていう。
めぐみ:ジャニオタって、自担と1:1になれない分、承認欲求が他のファンに向かうんですよね。
ふちりん:あー、それはあるかもしれない。
めりい:そう、だから嵐がすごい流行ってたときに私は嵐ファンだったんですけど、嵐ファンって嵐に会えないんですよね。会えてもコンサートやってる年に1~2回とか、コンサートも激戦で入れないし、チケットも転売で高いし、「VS嵐」とかの観覧もすごい倍率だし、嵐に会えるのって年に数回なんですね。でも嵐ファンでいるために何をするかっていうと、嵐ファン同士で嵐の話して暇つぶすんですよね。それしかやることない。
ふちりん:女アイドルの場合は、握手会で握手するじゃないですか。その握手会で、「缶バッジすごいね」とか言ってもらえるから、そこで承認欲求が満たされて、別にオタ同士でマウンティングする必要はないんですよね。
めぐみ:確かにそうですよね。握手会って誰でも行けるし誰でも1:1になれる場が得られてるから、「俺も言われた」みたいになって。
めりい:平和におさまる。オタク同士での殴り合いとかが起きないんですよね。俳優オタクの場合は殴り合いとか警察沙汰とかあるんですよ。出待ちで警察沙汰とかは結構ある話らしくて。
ふちりん:えー。
めりい:例えばAちゃんが出待ちしてて、Bちゃんも喋りたいってときにBちゃんを喋らせてあげるためにBちゃんの友達がAちゃんを突き飛ばしたりとか。出待ちするしないで警察沙汰になったりとか、具体的な話として聞こえてくるんですよね。
めぐみ:ジャニオタもヤラカシとかはすごいから。
めりい:私の嵐ファンだったときの友達が櫻井くんの本気の追っかけだったんですけど、追っタクって言ってタクシーで追っかけするんですよ。自家用車持ってないんで。で、いつものように櫻井くんの車の追っタクをしてて、様子がおかしいなと思ったら車の入っていった先が警察署の駐車場の地下だったっていう(笑)そのまま引きずり出されて櫻井くんに被害届出されて、みたいな流れがあったらしくて。まあその元友達も今は更生して普通の人間やってるらしいんですけど。二宮くんのマンションの廊下に侵入してなぜかチーズケーキ食べたりとか(笑)
ふちりん:よく更生できましたね。
めりい:本当ですよね。
めぐみ:女性アイドルの現場で酔っ払って変なことする人とかいると思うんですけど、逆にこっちは現場外で変なことしてる(笑)。
めりい:女性アイドルだと、私のずっとフォローしてる元女性声優ファンで現地下アイドルファンの面白い人がいるんですけど。(※oimioさん)
その人は昔大坪由佳さんっていう声優さんのファンをしていて、「ショコラティアラ」ってソロ曲のときに頭からチョコレートケーキをかぶって退場になったという伝説をお持ちの方で。
ふちりん:チョコレートケーキを…?頭から…?
めりい:すごいですよね。
ふちりん:そういうヲタ芸なんですかね。
めりい:私はすごい好きだなと思っていて。その「ショコラティアラ芸」は賛否両論だったらしいですけど。その後も地下アイドルファンになってライブで幼児の格好したりオムツはいたり結構ぶっ飛んでる人で、そういう人を見ると楽しい気持ちになります。
ふちりん:ぶっ飛んでますね。
めぐみ:でも女子のオタクはね。
めりい:女子のオタクは現場ではおとなしいことが多いですね。
ふちりん:男の場合は、彼女ができると急にガチ恋がおさまるっていうのはよくありますけどね。
めりい:へえ~~~。でも俳優オタは、彼氏がいて同棲しててもやっぱりオタクはやめられない!みたいな例は多いですよ。積み上げてきたものが多いからですかね?
ふちりん:でも男のガチ恋でも、積み上げてきたものがすごい多くても彼女ができるとすぐ辞めちゃうってことがあるんですよ。
めぐみ:Xちゃん*1じゃん!
めりい:ああ!女の方でもそういう方いらっしゃいますね。とあるアイドルの人に1000万円使って、同じ舞台の最前列に10何回とか入ってメンバーの目の前で号泣して、他のメンバーに「どうしたの?」って心配されて推しに舞台上で「この子は頭がおかしいから」って説明されるような子がいたんですけど(笑)。でもその子も彼氏ができて就職したらぱたっと収まったんで。
めぐみ:いますごいちゃんとした職業に就いてて。
めりい:頑張ってるよね。
ふちりん:じゃあガチ恋も治る場合があるってことですね。
めぐみ:……でもやっぱり今もちょっと後遺症が(笑)
めりい:あああ(笑)その子もすごい人間的にぶっ飛んでる子なんで、今もぶっ飛んだことしてるんですけどね。(ブログには書けないです) ガチ恋っていうか、ガチ恋って歪んだ愛の形しか持てないんだと思うんですよ。もう……無理(笑)。
ふちりん:無理ですか。
めりい:無理だと思う(笑)
ふちりん:(めりいさんは)まだ若いから。大丈夫ですよ。
めぐみ:ちなみに、美人女医さん*2とはどんなお話をしているんですか?
ふちりん:やっぱり、他の女性に目を向けるようにと言われますね…。
めりい:でも私、お医者さんには説明しづらくてガチ恋のこと言ってないんですけど…。でもめっちゃ働いてることは言ってて。本当に無理しないでって毎回すごい言われるんですよ。どうしても夜働いてるんで昼夜逆転してて、不眠症なんですよね。……でもガチ恋を診察することになった美人女医さんの気持ちも気になります。病として診断していいものなのか?ってなりそうですよね。
ふちりん:ガチ恋そのものを診断するというより、症状を診断するというか。
めりい:つらさを抑えるみたいな。
ふちりん:PTSDみたいな感じになってるので。何かあるたびに熱愛報道のことを思い出したりとか…。そういうものを抑えるお薬を貰ったりしています。
めりい:私もメンタルヘルス的には、横浜くんのことを考えると調子が悪くなるというか、動悸が起こることがあるんですよ…。それを抑える薬を貰ったりとかはしています。
ふちりん:それは先生に言うんですか?
めりい:不安になるんですよ。いろんなことを考えると。家族のこととか、仕事のこととか。でも家族のことも仕事のことも全部結局は横浜くんに繋がっているんですよね。横浜くんのために家族と実家でうまくやっているし、横浜くんのために仕事しているし…って感じだし。それをうまくやるために、お薬は飲んでいます。あとは横浜くんのこと考えると眠れないです(笑)
めぐみ:病気じゃないですか!(笑)
めりい:えっ、だって横浜くんのこと考えると眠れなくなりませんか!?共感求めても、誰も共感してくれないか……。かっこいいなーって思うと神経が昂ってきちゃうので。病気ですね(笑)
今もキャバクラで働いてるんですけど、お客さんの前ではあくまでも明るく振る舞ってるつもりなんですけど時々何も言ってないのに「メンヘラでしょ」って言い当てられたりしてびっくりします。オーラ出てるのかな!?って。カラオケとかもおじさん相手だと無難にユーミンとか歌ってるんですけど、ちょっと若い人だと、椎名林檎とCoccoが好きって言うと「メンヘラでしょ!」って……(笑)
めぐみ:でもめりいさん本当に痩せましたよね。
めりい:そうなんですよね。神経系を抑える薬を飲んでるので食欲がなくて体重が落ちちゃうんですよ。去年の同じ時期から15kg減ってました。1日に1食か2食しかご飯が食べられなくて。 うーん……でも私も熱愛が出たらPTSDになってしまうと思います。ふちりんさんがよく仰っていることで興味深いのが、「野球*3というスポーツはこの世に存在しない」という(笑)。木の棒で白い球を遠くに飛ばすスポーツらしい、という(笑)。
ふちりん:そうですね。
めりい:だから私も、例えば横浜くんにモデルとの熱愛が発覚したらモデルという職業をこの世から抹消しようと思って。「この世にはどうやらそういう職業があるらしい」みたいな(笑)。
めぐみ:「いろいろな服を着て写真を撮られる職業がこの世にはあるらしい」という(笑)。
めりい:それごと抹消してしまいたいですね。
ふちりん:でもあまり抹消しすぎると社会に適応できなくなっちゃうから…。僕も料理もできなくなっちゃうし、何もできなくなっちゃうから、少しずつ社会に適応していかないといけない。
めりい:そうですよねー…。今もがんばって水商売やってるんですけど、どっちかといえば先輩たちとの人間関係のほうが接客よりも大変で。社会にただでさえ適応できてない……(笑)
総括
めぐみ:このきっかけになった教授もおじさんなんですけど、嵐のファンで。でも周りにガチ恋のファンがいないし、そういうのも知らないと。
ふちりん:まあ、ガチ恋なの隠してファンやってる人もいますからね。
めぐみ:ジャニオタだとガチ恋は迫害されたりします。
ふちりん:ハロプロでも、説教されたり怒られたりしますよ。現実を見ろとか、結婚なんてできないんだから諦めろとか。
めりい:いいじゃん!結婚するまではいいじゃないですか。
ふちりん:人生論みたいな。
めりい:あ、人生を心配されてるんだ。ふちりんさんの。
ふちりん:そういうことを言われますね。
めぐみ:ガチ恋に歯止めがかかればいいですけど、歯止めがかからない人が殺傷事件とか起こしたりしますからね。
めりい:5月に地下のアコースティックでやってる子が刺された事件あったじゃないですか。あのときちょっと、私に重なるものを感じて。新幹線で上京してきて、入り待ちを5時間してた、みたいな報道があのときあって。その体力すごいなと思うと同時に、ちょっとやっぱり「自分もそうなっちゃってたかもしれない」っていうところにシンパシーを感じちゃったんです。殺す側に。それで、ちょっと話が飛ぶんですけど。
ふちりん:はい。
めりい:この前「ドキュメント死刑囚」という、「月刊『創』」という雑誌の篠田博之編集長の執筆された本を読みまして。その中に、大阪の池田小殺傷事件の宅間守死刑囚のエピソードが出てくるんです。
宅間死刑囚に獄中結婚を申し出た支援者の女性がいたんですけど、その方って報道を見て、普通はあの事件って「自分が殺されてたかもしれない」「自分の子供が殺されてたかもしれない」って感情移入の仕方だと思うんですけど、その女性は「自分が宅間守になっていたかもしれない」って感情移入をして、拘置所と外界とで手紙のやりとりを重ねて獄中結婚したんですね。死刑囚って死刑が確定すると親族と元弁護士以外は基本的に面会ができなくなるので、恐らく面会のために獄中結婚したのではとも思うんですけど、宅間死刑囚はその獄中結婚で姓も改姓して宅間ではなくなってるんですよね。そして執行された。
ふちりん:そうなんだ。
めりい:そうなんですよ。自分も何かがおかしくなったら犯罪者になりかねないから、5月の事件を見て改めてちょっと考え込んじゃって。
ふちりん:その事件があったときに、僕のツイッターが軽く炎上したんですよ。
めりい:ええ!だいぶ前ですよね!
ふちりん:そう、だいぶ前なんですけど、「次はお前なんじゃないか」みたいなことを言われて。犯罪者予備軍扱いされる…。
めりい:それはひどいですね…。でも私も友達とかに、冗談ですけど「そのうち本当に殺さないでね」って言われますよ(笑)。熱愛が出たら横浜くんにボディーガードをつけられるかもしれないです。犯行動機は何でしたっけ?
めぐみ:時計とかを返されて。
めりい:なんか本とかを返送されて怒り狂ってたんですよね。そう考えると向こう側の「ガチ恋のあしらい方」も難しいですよね。アイドルは特に…。でも私の高校の友達にアイドル声優やってる子がいて、深夜アニメの主演もやったりしてるんですけど。結構イベントとかでステージに出ることも多かったらしくて。その、ファンの人は嬉しいけど、たまに客席でうるさい時があるからそれはやめてほしいって言ってました(笑)
ふちりん:そうなんですね。
めりい:でも「これからもずっと応援してます。◯◯ちゃんは悩むこともあると思うけど頑張って」って手紙を書いてきたファンが、あっさり数週間後に同じグループの別の子に推し変してたことがあるらしくて(笑)
ふちりん:ははは(笑)
めりい:友達はそれに怒り狂ってました。
ふちりん:同じグループで推し変するのは一番嫌われますからね。
めぐみ:小金井の事件の犯人も、周りにガチ恋仲間がいて、相談にできていたら事件は止められたかもしれないですよね。
ふちりん:そうですねー。
めりい:周りにガチ恋としての承認が得られていればもしかしたら事件は起きなかったかもしれないですよね。愛を綴ったはてなブログを書くとかして。そのエネルギーがあるなら。私のブログもただただ好きなこと書いてるだけなのに読者数が240くらい行ってて(笑)ものすごくびっくりするんですよ!
めぐみ:毎回読んでます。
ふちりん:僕も読みました。
めりい:ありがとうございます…。
めぐみ:ライターとかになった方がいいんじゃないかと思う。
めりい:いや、それすごい言われるんですけど、ライターって名乗れば誰でもなれるので(笑)。
めぐみ:横浜くんのファンやってる限りは固定の職業に就けそうにないですよね。
めりい:無理ですね。自称フリーライターってことで(笑)
めぐみ:たしかに。
めりい:フリーライターって自称したら誰でもなれるので。嶽本野ばらさんも著書で書かれていたんですけど、野ばらさんの時代は90年代だったけれどFAX1台と電話番号さえあれば誰でもライターにはなれるって仰ってたので。でも私の場合書けることがすごい限られてる(笑)すごい狭い。
めぐみ:確かに。それ言い出したら今携帯あれば誰でもアイドルになれますもんね。
めりい:いまミスiDとか誰でもに門扉開いてますからね。若手俳優もバーとかでバイトしてる*4時代だし。
ふちりん:流星くんはバーとかでバイトしてないんですか?
めりい:してないです*5。実家住まいだし……服はいつもあげてるし(笑)。
めぐみ:彼がキャバクラとか行ってない限り*6はかかるお金ないですよ。衣食住揃ってますから。困ってないです。めりいさん服とかすごいプレゼントしてるから。
ふちりん:服とかはサイズどうしてるんですか?
めりい:セレクトショップの担当さんが身長体重一緒なので、いつも着せ替え人形にしてます(笑)。
ふちりん:プレゼントするんですね。
めりい:俳優ファンはけっこう服とかプレゼントします。で、自撮りとかで使ってもらえてるのがわかると嬉しいみたいな。女性アイドルのファンはプレゼントする人がわりあい少ない印象があります。
ふちりん:女性の服を選ぶのは難しいから…。
めりい:たまに109のアンクルージュとかに行くとおじさんが深刻そうな顔で店員さんに相談してたりします。プレゼントなのかなっていう(笑)。石川さんには何か差し上げられたことはあるんですか?
ふちりん:基本的に手紙くらいかな…あとペットのおもちゃとか。
めりい:実用性がある!
ふちりん:でも届いてるかわからないから…。
めりい:いや大丈夫ですよ!届いてますよ!私もいつも届いてるの着用で確認してるから!
ふちりん:ハロプロはすごい届くの遅かったりするんですよね。届かなかったりとか。
めりい:そうなんですね…。
めぐみ:めりいさんは貢ぎですよね。
めりい:貢ぎですね。貢ぎ要員です。でもこの前「わたしのこと正直どう思ってんの?」って聞いたら、「いつも応援してくれるし来てくれるし服もくれるし……でも大丈夫なんですか?」って言われて(笑)。
ふちりん:お金の心配されてる。
めりい:そのとき私体調崩して前の仕事辞めた直後だったので、「いや!大丈夫じゃないよ!」って本人に言ったりとかして(笑)。そしたら「無理しないで!本当に体調に気をつけて!」ってすごい言われまして。
ふちりん:でも着てくれるのは嬉しいですね。
めりい:どれが私のだかもう覚えてないと思うけど(笑)あげすぎて。
あとがき
ふちりんさんは私のような人間にも、柔らかに、心優しく接してくださり、2時間ほどお話をしたけれどとてもあっというまの時間だったように感じる。ちなみに、この文字起こしには6時間を要した。……そっちのほうが長いんかい…。
話題はトイプードルから宅間守まで多岐におよんだが、ふちりんさんの広い見識で終始興味深く対談を進めることができた。改めてこの場でセッティングをしてくださっためぐみ氏に感謝したい。ありがとうございます。
ふちりんさんは石川さんが結婚したらチベットに行ってしまうそうだけれど、せめてツイッターで「よっぴらってる~」的な更新は続けてほしいと私は願っている。あと、願わくば大宮アイドールのカウンターでふちりんさんとお酒が飲みたい(20歳になったら)。だから来年まで、石川さん結婚しないで!(←身勝手)
3万字以上にも及んだ長い対談でしたが、ここまで読んでくださった方に謝意を心より示します。ありがとうございました。
ちなみに、最後に少しだけ書いておきますが、こんな私と対談してそれをブログに載せられたいという方、いつでも募集しています。是非お話してください。おいしいお茶を飲みながら、ガチ恋やオタクの話をしましょう。