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舞台、俳優DD、サブカルかぶれ等

大口兼悟さんの引退に際して

 

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 大口さんが引退するという報を聞いたのはいつだったか。結構最近だったように思う。単純にいってわたしはショックだった。わたしが大口さんのことを知ったのは「烈車戦隊トッキュウジャー」だった。敵役にイケメンいるなぁと思っていた位だったのだけれど、2015年1月18日のイベント「超英雄祭」で初めて大口さんの姿を見た。少し予想よりもつつましい雰囲気を醸しだしていたので、闇の皇帝ゼットの印象が強かったわたしは拍子抜けしたものの、かっこいいし、良い人だな、と思った。なによりトッキュウジャーのカンパニーと仲が良かった。

 いつだったか、トッキュウジャーの6人と大口さんでLINEのグループチャットがある、というエピソードをイベントで話していたことがある。(大口さんもいるの!?と、わたしは心の中でザワザワした)しかし大口さんはそこまでロケ撮影に参加しているわけではないので(「烈車戦隊トッキュウジャー」をご覧になった方ならお解りだと思うだろうけど、大口さんはシャドーラインスタジオでの撮影がメインだったのではと察せられる)グループLINEに貼られる6人の楽しそうなピクニックの写メを見て、大口さんがひとこと、「闇出すぞ」と返信してきた、という話を聞いて、わたしは馬鹿みたいに笑った。

 東京ドームシティ遊園地でのロケで大口さんがクランクインしたときに、みんなが半ば怯えながら見つめていたものの、大口さんが飲み物を買ってきてくれて場が和んだ、って話とか。そんなエピソードを、わたしはファイナルライブツアーで何度も何度も聞いた。

 

 そういえば、「超英雄祭」のとき、トークショーのときにわたしの団扇を見て「あ、あざっす」みたいな感じで横浜くんは反応してくれたので、別に(ファンサは)もういいや~ってなっていたんだけれど、フィナーレの「We are brother ~情熱~」のときに団扇を持ちながらぼんやり横浜くんを観ていたら、大口さんが横浜くんの肩を叩いて、わたしを指差し、「ねえ!あれ!」みたいな風に話しかけてくれて、ふたりで肩を組んで手を振ってくれたことがあった。 それがすごく嬉しくて、泣いた。優しい人なんだな、と心から思った。

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 映像収録されているのが確か18日のほうなので、恐らくよく見れば大口さんもいらっしゃると思う。(……DVD買ってね!)

 

 それまで戦隊のファイナルライブツアーはメインメンバーのみが巡業を行うのが慣例であり、(オーラスの大阪公演に主題歌を担当している伊勢大貴くんが出演することは確か、最初から言われていたような気がするけど)敵役のキャストがツアーに帯同した、という話は聞いたことがなかった。けれど大口さんは度々、トッキュウジャーのメンバーと一緒にイベントに出たい、みたいなことを発言していた気がするし、たぶんそう思っていたのだろう、公式発表でも「本人の強い希望」とか言われていた気がするーーというわけで、大口さん自ら念願かなってファイナルライブツアーの全公演に急遽出演することになった。わたしは純粋にうれしかったが、大口さんのファンはとっても大変だったと思う…。(チケットの発売全部終わってたしね…)

 なにはともあれ、大口さんも一緒になって2015年3月14日からのファイナルライブツアーは始まった。ゼット様ーーーーぴぃぎぎゃあああ!!と、いう悲鳴を東奔西走しつつも各地で聞いたことをわたしは覚えている。番組を観ていればわかると思うけれど、ゼット様はとってもかっこいい。人気のあるキャラだったのである。

 しかしツアーはあっという間に終わり、気づくとオーラスの大阪、といった具合だった。静岡市民文化会館アクトシティ浜松、札幌ニトリ文化ホール、名古屋フォレストホール、広島文化学園HBGホール、仙台サンプラザホール、大阪オリックス劇場、とわたしは行ったのはこれくらいであるが。(「くらい」って量じゃないな…) 大千秋楽の2015年4月26日16:00公演(これはきっと一生、忘れもしないだろう)、サプライズで大口さんが、トッキュウジャーの6人に手紙を読んだ。

 メンバーそれぞれに愛がこもっていて、わたしは公演が全て終わったあとに、その大口さんの手紙のことも思い出してぐずぐずと泣いた。 流星くんに、大口さんは「20歳になって、一緒に酒を飲む日を楽しみにしています」とやさしく告げていた。そのときの流星くんはまだ18歳8ヶ月だった。わたしにとって20歳になる流星くんは遠い遠い未来の話、のような気がしていて、あまり現実味がなく、ぼんやりとしていた。

 

 トッキュウジャーが解散してから1年半が経ち、あれからいろいろなことがあった。流星くんの舞台に3本通い、あの頃のトッキュウメンバーといえば、平牧くんは事務所をやめてフリーになり、音楽ユニットを結成してツアーまでやるようになっていた。愛ちゃんは、知り合いのファンの方によれば「あんまり仕事してない」と言う。でも、免許を取ったり友達と遊んだり、ブログを拝読する限りは歳相応のかわいい女の子の生活を満喫していそうだ。志尊くんはバリバリ売れていて、ドラマに出たり映画に出たり忙しそう。テレビで顔をよく見る。 梨里杏ちゃんは、改名して小島という名字がついた。映画に出たり、時代劇に出たり充実した芸能生活を送っている、と聞く。 流星くんはさんざんブログでも書いてる通り、なんだかんだでお仕事が途切れず、忙しいようでうれしい。 長濱さんはコンスタントに舞台をこなしていて、流星くんといまでも定期的に交流があるようなのでよくツイッターなんかを覗いている。

 

 トッキュウジャーが解散したときに、わたしは流星くんに宛てた手紙の中で、こう書いていた。(これはきっちり文字起こしして、記事にまでしてある。なんと病んでいたことか)

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超英雄祭のとき、10年ほど前の「仮面ライダーブレイド」の俳優さんたちが登場して会場が熱狂に包まれたことを覚えてますか?流星くんも10年後、ああいう風にして不意にわたしの前に現れてくれたら嬉しいです。
ブレイドのこと全然わからないけどすごく感動した。泣いてる人もいました。10年でも20年でも流星くんがおじいちゃんになっても待ってます!また出発進行ー!したいし、烈車戦隊トッキュウジャーの振り付けもしたいです。そのときまた無茶振りされてけん玉やったりして、ください(笑)
 けれどわたしはこう書いていた反面、(戦隊にはときどき、「10 years after」といって、本編から10年後に番外編DVDを制作してくれることがある。ハリケンジャーや、デカレンジャーがその成功例だ)それはきっと無理だろうな、とも思っていた。10年後もトッキュウジャーがコアな人気を持ち続けて、デカレンジャーのように舞台挨拶廻りをしてくれればいいな、とはうっすら考えたものの、トッキュウジャーを1年に亘って追いかけ回し、メンバーと150回近く顔を合わせた実感としては、10年後もトッキュウジャーのメンバーがいまと同じような形で芸能界にいるとは、あまり考えることができなかった。だからそれは夢物語だ、と、決して当時口には出さなかったものの――確かにそう考えていたことは事実だ。
 解散から1年半しか経っていないのに、メンバーそれぞれがいろんな風に変化していく――ものすごいスピードで。この何倍もの時間が流れたときに、果たして同じようにいられるものだろうか? 考えれば、それだけで気が遠くなる。思えば、戦隊メンバーというのは「旬」の一瞬を撮影からツアーファイナルまで数えれば1年半も捧げるという、きらめきの瞬間が交差してそこを奇跡的に切り取っているようなもので、そして戦隊とはいえども、「ひとつの仕事」に過ぎないのだから、メンバーが散逸してしまうのも当たり前のことだ。 けれど、事実とは別にして、割り切れない気持ちがある身として、どうしても、さみしいのだ。
 特急厨だった日々のことを、舞台挨拶のことを、Gロッソのことを、ツアーのことを、わたしは永遠の中で引きずり続け、未練がましくことあるごとに語り、(いつしかわたしは老害と呼ばれるでしょう。だって、いまもうきっとジュウオウジャーの次の戦隊メンバーの書類選考が始まっているのです……。)GロッソのA列24番らへんに、まだわたしの生き霊はふわりふわりと浮いていることなのでしょう。
 10years afterを(正確に言えば、トッキュウジャーは――これは非常に未視聴の人にとってややこしい問題ですが――既に大人、つまり10years afterの状態の話をVシネマでやっているので、20years afterってことになるのでしょうが)やってもらえるとしても、そこに高い確率で大口さんは出演しないことになるのでしょう。そのときだけ戻ってきてくれないか、と心の中で願ってしまいますが、それはわがままですし、綺麗ではありません。ゼット様はおそらく、死んだことにされるか、どっかいったことにされるのです。それか新しい敵が出現します。具体的にはグリッタが再び闇に呑まれてそれを救出したりとかそういう話になるでしょう。(いけない、あまり書いて靖子にゃんの邪魔をしてしまっても……。)
 
 大口さんのファンのお姉さんとは、ツアーのときによくお話をさせていただいて、しばしば大口さんのことを伺っていました。その会話はとても楽しくて、今でも忘れることができません。彼にはほかにもたくさんファンがいたことでしょう。わたしは彼のファンではないので、ファンの方々の気持ちについて、推し量る権利も、なにか書く権利もありません。 彼の引退の背景にどういう事情があるのかも、全く知りません。でもブログを読む限り、どうやら前向きなものであるだろう、ということは窺え、それは良かったな、と純粋に考えました。
 
 流星くんの誕生日は、9月16日。あの手紙の日から1年半が経ち、もうすぐ流星くんは、20歳になります。時の流れというのは恐ろしく早いものです。あのときは18歳だったから、遠い未来の話だと思っていたのに。(そして未だにファンをやっていることにも自分でびっくりしていますけど。当時特急厨だった人たちは、大半がどこかに消えてしまいました。ジュウオウジャーとかね)
 皮肉にも、大口さんは流星くんが20歳になる前に芸能界を引退してしまったので、果たして、いっしょにお酒は飲めるのでしょうか。お仕事で一緒に拝見する機会がなくなった、ということは寂しいです。
 
 

何でもすぐに答えを求めてはいけない。想像しなさい。そのイマジネーションで、我々は存在し、走っている

 ――烈車戦隊トッキュウジャー 第47駅「輝いているもの」より