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舞台、俳優DD、サブカルかぶれ等

2.5次元作品の制作会社は何を考えているのか

anond.hatelabo.jp

 読んだ。これを書いた人はひとつ重大な気づきをまだ得ていないと私は思うのでここに記す。

本当にネルケは何を考えているのだろう。ネルケは何を考えてこんな決断をしてしまったのだろう。 

  何を考えているのかといえば「金儲け」「収益」に決まっているではないだろうか。金儲けと収益のことを偉い人たちが顔を突き合わせて三日三晩考えた結果がああなのだ。だから本質的には刀剣男士だろうとテニス部の中学生だろうとアナザーワールドだろうと関係なくて、適切なタイミングで適切なコンテンツを適切に制作して収益を上げているだけなのだ。だから、現場で起きていることに対して現場責任者に怒るのはまだしも(歌と踊りのコーナーを設けた演出家に怒る、とかならまだしも、恐らくその構成は演出家の発案ではなかろうという前提のもとに書かれているとは思うが)制作会社に怒るのは、まったくもってトンチンカンだと思う。

 すべてのコンテンツは、適切なタイミングで適切なものを制作し、顧客に提供することによって利益を計上することが目的になっている。現場レベルでどういう人が、どういう熱意を持っているのか、というのはもちろん大切だけれど、現場レベルで出来ることと出来ないことがあるし、「刀ミュが苦手だ」というのはとても主語が大きい。まあこれは例示でしかないので主語は「ももクロ」でも「乃木坂」でも「はれのひ」でも何でも良いんだけど、ビジネス目的で集まっている特定の集団の中において、大半の人間は「指示を受けるしかない」立場でしかないことは理解する必要がある。現場の人間はたいてい搾取される側なので、ビジネス的成功のための試みがどんなに突飛なものであったとしても無抵抗でしかいられないと思う。よって、この場合「刀ミュが苦手」というより、「刀ミュに苦手な要素を付加している人物に嫌悪意識がある」というのが正しいのではないか。元増田の人は、1部のミュージカルには特にヘイトを溜めてはいないようだし。

 俳優の中には本当にキャラを愛している人間もいれば2.5次元なんて早く辞めたいという人間もいて、それが現場レベルの「意識の違い」ではあるんだけども、そういうすべてを超越して前提に存在するのが「収益計上」であり、これはいつでも忘れてはいけないと肝に銘じている。

なんで舞台なのにペンライトを振るの?(中略)そもそもなんで舞台なのにファンサしてるの?

 人間の快楽原則に訴求してより利益を計上するためであろう。

 「ミュージカルでもなんでもない」 というのは確かにそういう部分があるかもしれない(2.5次元ミュージカル論を深く掘り下げるほど知識がないのでここでは避ける)が、しかし「正しいミュージカル」を追求したところで、現状より儲けが出るのだろうか。出ないからそうなっているのではないか。ミュージカルよりアイドルコンサートの方が観客からの評判がよいので、ミュージカルとうたいつつもアイドルコンサートを行っている、という解釈をしたほうがよいのではないかと思う。

 俳優オタ界隈で元増田の人のような意見はごくたまに目にすることがあるのでそこまで驚いてはいないが、言葉の定義に縛られすぎるとこのように不要な苦悩をかかえてしまうことになるとは常々思う。観客から見えるのは俳優、脚本家、演出家といった「現場」の部分なので忘れてしまいがちだが、エンタメというのはそもそも商業作品であることを忘れてはいけないと自戒をこめて書きたい。オタクカルチャーを支持する人の中には同人文化などのバックボーンを持つためか嫌儲主義の人が多いが、言葉の定義について深く考えてドツボにはまるより「こっちのほうが儲かるのか」と諦める潔さを持ちたいと思う。